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日本銀行 春休み親子見学会

4月3日(水)、4日(木)日本銀行神戸支店(中央区京町)で「春休み親子見学会」が開催され、事前申し込みをした小学5・6年生の児童とその保護者が参加した。 (主催/日本銀行神戸支店、兵庫県金融広報委員会)

これは、普段あまり関わることのない日本銀行の店内を見学し、紙幣の偽造防止技術や損傷した紙幣の引換基準などを学び、一億円の重さ体験や紙幣の裁断片で作られたソファなどで記念撮影が出来る人気のイベントで毎年春休みと夏休みに行われている。

まず初めに「お札と探検!日本銀行」と題したDVDの上映があり、日本銀行の歴史や業務、金融の仕組みについて学んだ。日本国内で流通している紙幣は、昨年末時点で約110兆円。これを積み重ねると富士山の約450倍の高さになり、横に並べると地球の約66周分、月までの距離の約7倍相当になるという。 また、中央銀行である日本銀行の3つの役割(紙幣の発行、物価の安定、金融システムの安定)についての解説もあり、熱心にメモを取る参加者もいた。

日本が誇る紙幣の偽造防止技術の紹介では、実際に紙幣を触って「深凹版印刷※」の手触りを感じ、透かして見ると1万円札には3本、5千円札には2本、千円札には1本の縦棒「すき入れバーパターン」を目視することができた。次に傾けると紙幣の裏面にNIPPONの文字が浮かび上がる「潜像模様」や表面の両サイドにはパール光沢のあるピンク色の半透明な模様(パールインキ)が浮かび上がる。ホログラムの角度を変えると色や模様が次々に変化して見え、印刷技術の奥深さに参加者から感嘆の声が漏れていた。

「にちぎんと災害対応ルーム」の見学では、阪神・淡路大震災に見舞われた際に神戸支店の職員が現金を安心して使える環境を維持するために果たした記録が、当時の写真や手書きの金融上の特別措置要請文書などで紹介された。震災2日後から損傷した紙幣の引換が開始されると、まだ火種の残った紙幣が持ち込まれ受付カウンターで突然燃え上がるといったアクシデントもある中、濡れてしまった紙幣にはアイロンをかけ、溶けた硬貨を1枚1枚はがす作業などを泊まり込みで遂行した様子が記録されている。震災後約半年間で、8億円(紙幣14万枚、硬貨113万枚)の引換を実現したという。

1階の発券課ロビーで、実際に業務を行っている窓口の様子を見学した後、兵庫県金融広報委員会金融広報アドバイザーによる子ども向け「金融教室(おこづかいゲーム、お金クイズ)」が行われた。

灘区から母親の奈津子さんと参加した天谷眉(あまやまゆ)くん(成徳小5年)は、小学校の図書室で阪神・淡路大震災の本を読んだことがあり、その本の中で紹介されていた日本銀行神戸支店の果たした役割を知って興味を持っていたといい「実際に写真を見て、重い現金収納箱が崩れてお札パックが散乱していたのにたった1日で片付けたのがすごいと思いました」と感心した様子で話した。奈津子さんは「お札を傾けて見ることは知りませんでした。とても内容が濃くて親子で楽しめました」と話した。

日本銀行神戸支店では、事前予約制で支店内の見学を行っている。対象や概要の詳細はHp参照。「日本銀行神戸支店見学」で検索。

また、兵庫県金融広報委員会では10人以上のグループ向けに専門的な知識を持つ金融広報アドバイザーを講師として派遣(無料)している。詳細は、日本銀行神戸支店Hp「知るぽると」バナーをクリック。もしくは「兵庫県金融広報委員会講師派遣」で検索。

※深凹版印刷(ふかおうはんいんさつ)/版面の細くくぼんだ画線部分にインキを詰め、強い圧力をかけて紙に転写する、インキをより高く盛り上げる印刷方式。

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