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垂水区

垂水のいいね!電車と散歩編 山陽塩屋駅

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2019年4月24日号掲載

〈第1回〉山陽塩屋駅 & 駅周辺散歩

『海を臨む坂の町』として 知られる塩屋町。 その玄関口である 山陽電鉄「塩屋駅」周辺には、 今でも古き良き 昭和の薫りが漂う

今回から、垂水区周辺の山陽電鉄の駅と駅の界隈を紹介する〝垂水のいいね!電車と散歩編〟がスタート。その第1回目として、垂水区の東端にある山陽電鉄「塩屋駅」を訪ねた。  神戸の町は山に海が迫っていることから、坂の多い町として知られている。その中でも、最も山と海が近づいている場所にあるのが「塩屋駅」である。駅のそばに山が迫る光景は、広島県尾道市など、瀬戸内海の町でもしばしば出会うことがあるが、その東の始まりが塩屋の町である。

塩屋駅の改札を出ると、駅前とは思えないような車1台がようやく通れるぐらいの細い道に出る。その通りを東に行くと、北側に細い路地がある。昔ながらの路地は、北に広がる住宅地に向かう主道路になっていて、この道の南の終点は山陽電鉄と並行して走っているJRの「塩屋駅」につながっている。この細い路地を通勤や通学のために利用する人が、取材時にも次から次へとやってくる光景が見られた。

この細い路地は、「塩屋商店街」でもあり、魚屋や食堂、カフェなど多種多様な店が軒を並べている。店の準備をしている店主に通りがかりの小学生が気軽に話しかける光景が見られるような、人と人との距離がとても近い場所だ。今でも古き良き『昭和の商店街』の雰囲気が残っている。

塩屋商店街

その路地を北に向かって進むと、塩屋川に出る。その北側には、川によって造られただろう谷を挟むように、住宅が立ち並ぶ光景が広がり、そこから住宅地に向かう坂道がスタートする。  塩屋川にかかる橋を挟んで、道は左右に分かれている。その分岐点に「右毘沙門」という文字が書かれた石碑が立っている。

その案内に従って東側の坂をしばらく上っていくと、再び同じような石碑がある。それに導かれて道を曲がると、目の前には急な坂道が。その坂道をさらに登って行くと、やがて「山王神社」が出現。

その先には「旗振山登山道」と書かれた看板も現れる。ここは、遠く宝塚まで続く「六甲山縦走路」のスタート地点となっている須磨と塩屋を結んでいる昔ながらの道なのだ。その道沿いにある児童養護施設「神戸少年の町」の横には、ひっそりと「源平合戦戦没者供養塔」があり、須磨一の谷を主戦場とした平家と源氏の戦いがこの地まで及んでいたことが分かる。

源平合戦戦没者供養塔

塔は鬱蒼とした木々に囲まれた場所にあるが、今でも花などが添えられていて、地域の住人に大事に護られていることが伺える。  そこまで訪ねて、今回の訪問は終了。石碑にあった右毘沙門は、まだまだ先のようで、踵を返すと、坂を下る途中に遠く海が臨める場所に出会った。

潮の香りも漂っていて、まさに塩屋が『海の臨む』町だと感じさせてくれたが、塩屋にはまた別の一面もある。駅の東側には、かつて本紙でも紹介した、「旧グッデンハイム邸」に代表される異人館が建ち並び、そのあたりは異国情緒が溢れている。神戸を代表する三宮や元町とはひと味違った、別の神戸の魅力を感じさせる町が、この塩屋だと言えるのではないだろうか。

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