県立神戸学園都市高校〜河合祐介教諭〜

河合祐介教諭は20年前から大学や県立人と自然の博物館などと連携し、総合的な学習の時間や総合的な探究の時間の取り組みとして、自然の恵みを伝える活動を行ってきた。同校に異動前は県立御影高校に勤務。当時、2年生の総合的な学習の時間に蚕を飼って糸とりをしたり、キノコの観察を始めた。キノコはマツタケのように樹木と共生関係にある菌根菌と、椎茸のように植物や動物などの有機物を分解して自分で生きることができる腐生菌に分かれている。
個性的な形、色、匂いのするキノコに初めて触れた生徒たちは興味津々。関心を寄せる生徒も多かったため、博物館の研究員の協力を得ながら、フリーズドライ(真空凍結乾燥)したキノコにウレタンポリマーの樹脂を浸潤させて作る特殊なキノコの標本作製へと活動は進展。この標本は、キノコを生きた姿そのままの形で半永久的に残すことができる。さらに、2010年頃から博物館で「六甲山のキノコ展」と題して標本展示を行うまでに展開していった。また、生徒たちによる研究「六甲山におけるキノコの長期観察データを用いた出現種数の推定および気象要因との対応分析」は第58回日本生態学会(2011年)高校生部門の最優秀賞を受賞した。その後も御影高校環境科学部として活動は引き継がれ、通称キノコ部と呼ばれながら研究は続いている。
現在、河合教諭が顧問を務める県立神戸学園都市高校のボランティア部では、前任校の伊川谷高校ボランティア部から引継ぎ、SDGsをテーマにしたオリジナル脚本の人形劇を制作。地域のさまざまな団体と連携しながら、子どもたちにSDGsを伝える活動を行っている。
近年学校周辺の西区の山野では放置された竹林が点在し、植生の多様性が失われるだけではなく、道路にはみ出るなどの実害も数多く報告されている。その現状をテーマにした人形劇「西区竹取物語」は、劇の途中に放置竹林が増えた理由やタケノコを取るのに適したタイミングなどを問うクイズも盛り込まれ、楽しく鑑賞しながら、地域課題を知ってもらう工夫がされている。人形劇を通して竹の実用性や利用度を高めるきっかけを作り、行政や企業と協力しながら竹の新しい価値を見出せたらという想いを込めている。公演の後にはワークショップを体験してもらい、各地のイベントで集めた募金をミャンマー災害支援として募金する活動も行っている。部長の折田愛羽さん(2年)は「将来、子どもと関わる仕事に就きたいと考えているので、イベントで人形劇や竹のワークショップを行うことで子どもたちと接することができ、良い経験をさせてもらっています」と話した。河合教諭は「生徒たちには活動を通して、主体的に動くことができる人になってもらいたいと思っています。そして、地域の人たちから信頼される部になってほしいです」と語った。
キノコについては兵庫きのこ研究会に所属していると話す河合教諭。「今でも月に1度、六甲山に観察に行っています。一般の方々はホームページから体験参加の申し込みができます」と呼びかけた。
◆兵庫きのこ研究会ホームページ
https://hyogo-kinoko.jp

きのこの封入標本