編集記事

須磨区

落合池にコウノトリ飛来

記事 落合池にコウノトリ飛来のアイキャッチ画像

※写真は、エサの魚を捕らえたコウノトリ(よこお自然塾 中村利行さん撮影)

今年3月、国の特別天然記念物、コウノトリが落合池(須磨区中落合)に初めて飛来した。天気の良い日、名谷駅前の歩道橋では足を止め、コウノトリの姿を観察する人々で賑わっている。

コウノトリは、コウノトリ目コウノトリ科に属する日本最大級の鳥である。背の高さは約1.1m、翼を広げた翼開長は2.2mにもなる。全身はほぼ白色で、黒い風切羽と太くて長いくちばしを持つ。かつては日本各地で見られていたが、乱獲や環境悪化により絶滅寸前の危機に。最後の生息地であった豊岡盆地で保護活動が始まるが1971年には野生下のコウノトリは絶滅した。その後、人工繁殖と野生復帰が進められ、野外で約550羽(2025年11月現在)が生息するまでに回復している。魚・ヤゴ・オタマジャクシ・カエル・ザリガニ・クモ・ヘビ・ネズミ・ミミズ・昆虫といった、沼・池・川・田んぼなどの水辺で生きる動物をエサとしており、好物のエサが多くいる湿地と小さな谷が多くある地形を好む。湿地生態系の食物連鎖の頂点に立つ鳥で、その存在は豊かな自然環境の象徴とされている。

落合池では3月7日頃から目撃されるようになり、1カ月以上、落合池に滞在している。この鳥の足環に記された個体番号は「JO922」。これは兵庫県立コウノトリの郷公園で装着されたもので、同施設の個体検索によると、2025年4月29日に豊岡市で孵化、7月3日に巣立ったメスで今年1歳になる個体であることが分かる。

落合中央公園及び落合池周辺は名谷駅リニューアルに伴い、一昨年から神戸市建設局西部建設事務所主導のもと、整備が行われてきた。同事務所の担当者は「うっそうとしていた池の周りの樹木を、トウネズミモチ、ハリエンジュなどの外来種を中心に大規模に取り除くことにより公園が明るくなりました。また水草を除去したことで池の水面も格段に見やすくなりました」と話す。伐採は神戸市造園協力会が担当し、構成各社が造園技術を駆使して、分担された作業区画の枝払いや刈込み、伐採を行った。「自分の受け持ち区画をもっときれいにしよう」という思いが相乗効果となって、より美しくなったという。

3月27日に開催された落合池クリーン作戦では、地元の自治会、婦人会、ふれあいのまちづくり協議会、防災福祉コミュニティ、高校生、サッカーチームの子どもたちが集まり、公園や池周辺のゴミ拾いを実施。「夢!里山へ帰ろう!」をテーマに2024年から安心安全な公園の環境保全と再生活動を行う「落合池里山再生ネットワーク」の藤井さち代さんは「水陸両用車での除草作業のあと、コウノトリが飛来しているのを確認しました。ゆずりは橋で足を止めて語らう地域の皆さんの姿も見られ、うれしいです」と話した。クリーン作戦に参加した須磨ナイスサッカークラブの中嶋勇斗さん(東落合中1)は「学校の授業でコウノトリの勉強はしましたが、実際には初めて見ました。きれいでした」と話し、北井晴琉さん(同)は「母親と買い物に行く途中に池の中にいる姿を見ました。想像よりきれいだった」と驚いていた。

また、名谷周辺を拠点に活躍する2人組アーティスト「もるねっこ」は「コウノトリ」の楽曲を作成。作詞作曲を担当したMolさんは「この曲は里山再生の活動に力を注ぐみんなの笑顔に惹かれて、コウノトリが来てくれたこと、そして街の人が写真を撮ったり、笑顔で池を望む姿がうれしくて、みんなへの感謝を込めて作った曲です。名谷ワッショイなどのお祭りやプレーパークで歌っていきたいです」と語った。鳥が好きで30年以上見守っているという地元住民は「毎日、コウノトリの様子を見に来ています。日々違う行動・表情が見られて楽しいです」と笑顔で望遠鏡を覗いた。観察に通う「よこお自然塾」の中村利行さんは「コウノトリは池で獲った魚をくわえて、陸地に移動してから食べています。でも、これをアオサギが狙って横取りするのを何度も見かけました」と厳しい自然界の中を生き抜くコウノトリの苦労についても話した。

カテゴリー