こうべユニバーサルツーリズムシンポジウム

(上)須磨ユニバーサルビーチプロジェクトの木戸俊介代表
2月7日(土)に神戸市立中央区文化センター(中央区)で、ユニバーサルツーリズムについての議論を深める「こうべユニバーサルツーリズムシンポジウム」が開催された。(主催/岡山大学、神戸市、一般財団法人神戸観光局)
ユニバーサルツーリズムとは、年齢や障がいの有無に関わらず、すべての人が安心して楽しめる旅行のこと。国連による世界観光倫理憲章では「誰もが参加できる観光の促進」が標榜され、日本各地でもさまざまな取組みが見られるようになってきている。このシンポジウムでは〝山へ海へ行く!「誰ひとり取り残さない」アウトドアツーリズムの創生〟をテーマに大学、自治体、企業、NPO法人などが講演、発表を行った。
基調講演では和歌山大学観光学部の加藤久美教授が持続可能な観光について、国内外で実践されている事例を交えながら解説。まず、観光の変化と成長について、地域主導となって住民の考え方を尊重した立ち入り規制が設けられたり、何をもって成功とするのかの評価指標が変化していると話した。また、旅の目的に学び・体験・貢献を位置付ける旅行者も増えており、環境保全のためのボランティアや地域の伝統・文化への関心も高まっている。このようなニーズに対応すべく、多様な受入環境の整備が持続可能な観光となり得ると語った。
神戸市におけるユニバーサルツーリズムの取組みについては、経済観光局の中川琢磨課長が紹介。神戸公式観光サイト「Feel KOBE」では、観光をする際に役立つ貸出車いす、多機能・多目的トイレ、観光施設のバリアフリー情報などを発信しており、積極的なユニバーサル事業を推進する事業者の紹介や事業者間の連携促進にも取り組んでいると語った。
登山・アウトドア用品総合専門店「好日山荘」の松本良一社長は、アウトドアでのバリアフリーの取組みを紹介。会場には山道にも対応可能な電動アシスト付き車椅子「イートライク」が展示され、試乗体験もできた。松本社長は「業界のリーディングカンパニーとして、すべての方にアウトドアを楽しんでいただくことを目指しています。また、アウトドア用品を使いこなすことは防災減災にも繋がります」と話した。
須磨ユニバーサルビーチプロジェクトの木戸俊介代表は「みんなのできないをできたにかえる」を合言葉に、すべての人に安心して楽しんでもらえるよう須磨海岸のバリアフリー化を目指す活動について紹介した。車いすユーザーでもある木戸代表は「車いすでビーチを通ろうとすると、車輪が砂にはまってしまい、せっかく海に来たのに眺めることしかできませんでした。まずは自分のできないをできたに変えるため、ビーチにビーチマットを敷いて波打ち際まで車いすで行けるようにすることから始めました」と話す。同プロジェクトはビーチマットの設置や水陸両用車いすなどを活用し、ユニバーサルな海岸の整備に取り組んでいる。「今では全国に21の兄弟プロジェクトができました。あと5年ほどで、各都道府県に1つはユニバーサルビーチが作れたらと思っています。障がい者も健常者も同じ空間・瞬間を楽しめることが大事です」と話した。
長田で多世代型介護付シェアハウスを運営しており、以前須磨ユニバーサルビーチプロジェクトのサポートを利用したことがあるという、参加者の首藤義敬さんは「神戸は海も山も近い。海外からの観光客にユニバーサルツーリズムをアピールすれば、可能性はとても広がると感じた」と話した。また、同プロジェクト副理事の内藤夕貴さんは「これからさらにユニバーサルツーリズムを広めていく上で今日の話を役立てたい」と話した。
主催の岡山大学の池谷航介准教授は「震災から30年の節目の年の神戸からユニバーサルツーリズムについて発信できたことはとても大きな意味がありました。ユニバーサルなまちづくりが防災にも繋がると感じています」と語った。

eTrike(イートライク)の試乗

水陸両用車いすの展示