神戸医療センター 市民向けがん講演会

12月13日(土)須磨パティオ「健康館」3階パティオホール(須磨区中落合)で、「第16回 市民向けがん講演会」が開催され、約80人が参加した。(主催/独立行政法人国立病院機構 神戸医療センター)
講演会は県指定のがん診療連携拠点病院である神戸医療センター(須磨区西落合)が、がんの知識を市民に広める目的で行っている。同センターの管理栄養士、理学療法士、看護師がそれぞれの視点からわかりやすくがんについて語った。
まずはじめに、管理栄養士の畑田芽衣さんによる「がんと健康~栄養を上手に摂るためには~」と題した講演が行われた。食事はがん予防にも治療の支えにも重要であり、栄養を上手に摂ることで健康状態の維持・治療に挑むことができると説明。特に食生活を見直すのは効果的で、食事が偏ると身体の代謝バランスや免疫機能が乱れ、がんを防ぐ力が弱まる。バランスよく栄養を摂ることで細胞の修復や抗酸化作用が正常に働く効果がある。がん治療に伴う副作用によっては「食べること」がつらくなる場合もあるが、食欲不振の時は無理に食べることに拘らず、少量でも効率よく栄養強化を図ることができる栄養補助食品を活用してもよいと話した。
理学療法士の仲優樹さんによる「いつでもできる健康体操」では、いすに座ったままできるフレイル予防の体操を参加者とともに行なった。フレイルとは、加齢により心身が老い衰え、要介護に陥りやすい状態のこと。早めに気づき、予防のための運動を始めれば改善できると話した。
緩和ケア認定看護師の杉林宏美さんによる「緩和ケアの取組みについて」では、緩和ケア認定看護師について説明。がん患者、難病患者などを対象として、痛みなどの体のつらさ、こころのつらさなどへのケアを専門に行う看護師で、同センターには3人が在籍し、患者や家族に寄り添いながらサポートしていると話した。
最後に、美田訪問診療クリニックの美田良保院長による特別講演「訪問診療ってご存知ですか 治療・緩和ケアからお看取りまで」が行われた。美田院長は通院や入院が困難な患者の自宅や施設を訪問し、在宅医療に取り組んでいる。在宅医療は通院の負担軽減、住み慣れた環境で安心して生活できることがメリットで、外来診療、入院治療に続く第3の医療の形となっている。定期的に医師が自宅を訪問する訪問診療と突発的な病状変化に対して訪問する往診があり、在宅医療であっても同クリニックでは輸血、エコー、胸腹水穿刺、持続皮下注射などの必要な処置を行なうことが可能。理学療法士、薬剤師、ケアマネージャーとも連携しチームで患者をサポートできると話した。
須磨区から参加の女性は、「高齢の母は通院するのも大変なので近くに相談できそうな医師がいるのは心強い」と安堵の表情を浮かべた。また、中央区から参加の男性は「在宅医療は最後の手段だと思っていた。がんと診断を受けた時から利用できると知ったことは今後の安心材料となった。選択肢の一つとして検討したい」と話した。同センターの三輪陽一副院長は「今日をきっかけに人生の最期をどうすごすか、誰と過ごすかを考えていただければ」と締めくくった。