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米作り少年 新宅佑輔さん

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神戸市立井吹台中学校1年生の新宅佑輔さん(西区井吹台北町)が、懸命に米作りに取り組む様子を描いた児童書「おいしいお米をつくりたい!(谷本雄治/著 出版/汐文社)」が10月に出版された。

佑輔さんが米作りに興味を持ち始めたのは小学2年生の時。きっかけは母親の雅美さんが食卓に出したご飯の味がいつもと違うと気付いたことから。「これ甘い。むっちゃおいしい」と、おかずには手をつけず、ご飯だけを平らげたという。このときのご飯は5歳違いの兄・健太郎さんが二ホンミツバチの飼い方を教えてもらっていた農家の中井知広さんが育てたお米。佑輔さんは1年生の時に少年ラグビーチームに入るもご飯をあまり食べず瘦せぎみだったが、中井さんのお米との出合いで、練習のあった日はご飯を3杯食べるようになり、体も逞しくなっていったという。

年が明け、新宅家では新年にその年の自由研究のテーマを発表するのが恒例で、佑輔さんは「田んぼでお米作りがしたい」と答えた。そこで中井さんに相談に行くが、自然を相手にする米作りの苦労を知っている中井さんは、田んぼではなくバケツで育てる方法を勧めた。佑輔さんは断られてもどうしても諦めることができず、中井さんの畑のキャベツやネギの収穫を手伝い、熱意をアピールし続けた。中井さんはついに佑輔さんの熱意に折れて指導を引き受けてくれた。西区神出町の休耕田を借りて米作りが始まった。田んぼの面積は小学校の教室のおよそ10部屋分にあたる6・3a。小学生には大きすぎるスコップに振り回されながらの土作りが始まった。中井さんは近くで見守りながらも手は貸さず、佑輔さんの気持ちを確かめるように黙って見ていたという。1年目は大きな台風に襲われたこともあり、45 kgの収穫だった。目標にしていた300kgには届かなかったが、感謝の気持ちでいっぱいになったと話す。

中井さんに「1年目の何がよくなかったかを考えるように」と言われた佑輔さんは図書館で調べものをし、田んぼの雑草を食べるカブトエビを知り、取り入れてみることに。2年目の田植えは友人、親戚、地元の人と40人で行った。多くの困難を乗り越えて、325・5kgのお米を収穫することができた。お世話になった人を招き、田んぼで行った試食会では、中井さんから「天日干しにしたゆうちゃんのお米はうちの米よりおいしい」と最高の賛辞を受け、佑輔さんは大喜びした。

5年目の今年は新たに耕した田んぼの収穫も含めて420kg達成。佑輔さんは「最初は草刈りをするのも、どれが稲でどれが雑草なのかも見分けがつかなかった」と話す。学校が休みの週末と夏休みは2日に1回田んぼに行き、米の世話をした。5年生の時には小学校の敷地内に田んぼができ、同級生たちとも一緒に米作りができた。「稲刈りの後に羽釜ご飯を食べた時にはみんな笑顔でうれしかった」と語った。雅美さんは「米作りを経験したことによって、何事に対しても感謝の気持ちを持ってくれたことが1番です」と誇らしげにほほ笑んだ。

◆本の詳細はコチラ→https://www.choubunsha.com/book/9784811333212.php


(右)佑輔さんの書いた詩

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