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認知症や物忘れなどの不安を気軽に相談 健康ステーションオレンジcafe さくら

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 9月18日(木)、西神オリエンタルホテル2階第二西神中央さくら薬局(西区糀台)にて、認知症についてなど気軽に相談できる「健康ステーション オレンジカフェさくら」が開かれた。(主催/株式会社グットプランニング)
 「オレンジカフェ」とは、認知症の人や物忘れに不安を感じる人、その家族が気軽に立ち寄り、同じような不安を抱える人や専門職の人と話し、安心したり相談・情報収集ができる場。認知症の家族の負担軽減と認知症への理解を深める目的で市内では現在約40カ所で開催されている。「地域の健康ステーションになる」ことを目標に掲げる第二西神中央さくら薬局でも、毎月第3木曜日の午後3時から、お茶を飲み、リラックスした雰囲気で「オレンジカフェ」を開いている。   
 参加者は認知症の両親やパートナーを持つ地域住民で、子や妻、夫の立場でそれぞれが直面している心配事や悩み事を打ち明け、共感し合った。あんしんすこやかセンターの地域支え合い推進員からは、支援を受けられる行政サービスについて聞くことができた。 交流の場には薬剤師、看護師、管理栄養士、デイサービス管理者、生活支援員などの専門職の職員に加え、LOVOT(AIが搭載された人に寄り添う家族型ロボット)が加わり、場を和ませた。LOVOTは撫でると喜んだり、「ミライくん」と名前を呼ぶと反応したりする。触ると人肌の温かさもある。ミライくんは普段は薬局の待合の場で活躍し、薬を待つ患者同士のコミュニケーションのきっかけを作っている。LOVOTと独居高齢者が交流することで認知機能の低下抑制効果があることも検証され、カメラで日常を記録することもできるため、「ゆるい見守り」機能として活用する人もいるという。
 薬剤師の浦久枝さんは自身の経験から、認知症患者の家族と暮らす上で「すべてを家族がやってしまったり、取り上げてしまうと、できていたことができなくなり、自信を奪ってしまうこともある。本人が得意なことはなるべくやってもらうことも大切だと思う」と意見があった。ほかにも認知症の症状で昼夜が逆転してしまうことへの対策としては、規則正しい生活習慣をつけ、デイサービスなども活用しながら、昼間に長く寝てしまうことを防いでみては?とアドバイスも。また、認知機能の低下を防ぐには「デュアルタスク(2つのことを同時に行うこと)」も有効で、身体を動かしながら何かを考えるなど日常生活の中でも取り入れると良いとの話が出た。
 地域支え合い推進員からは神戸市が行っている認知症の高齢者を見守るサービスについて紹介があった。GPS貸し出しサービスは7月から選べる端末が増え、月額利用料の半額を市が負担することで利用しやすくなった。8月からは「みまもりシール」も導入。これは行方不明になる心配がある在宅高齢者の情報を事前登録しておき、その情報を読み取るための二次元コードと登録番号が印刷されたもの。無料で配布されている。登録情報は警察と共有されているため、このシールが衣服やかばん、靴などに貼ってあれば、万が一行方不明になった時にも速やかに身元確認ができる。地域でこのシールを付けた人が困っていたら、温かく声をかけ、二次元コードを読み込み、表示される連絡先まで連絡してほしいと呼びかけがあった。
 参加者からは「ざっくばらんに話ができた」「自分も貯めこまなくていいんだと思えた」などの声が上がった。進行を務めた長島克典さんは「薬局を薬をもらう場としてだけでなく、心から元気になる場にしてもらえたら。来られた時と帰る時でお顔の表情が変わり、笑顔で帰っていただけたのがうれしかった」と手応えをにじませた。

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