塚本真志さん 逆転勝利でU10世界チャンピオンに

東落合小学校(須磨区東落合)5年の塚本真志さんが7月、スペインで開かれた国際自転車競技連合(UCI)主催の「トライアルズ・ワールド・ユースゲームズ」に出場し、9~10歳のBoys U10カテゴリで見事優勝。大逆転で世界チャンピオンの座をつかんだ。
自転車トライアルはスペイン発祥の競技で、岩や丸太、斜面などの障害を自転車に乗って足をつかずに走破できるかを競う。高い技術と集中力が求められるスポーツで、ユース大会では年齢別に5つのクラスに分かれて競う。
大会の舞台は、バルセロナから北へ約70キロに位置する小さな街・ビック(VIC)。真志さんは1歳上の兄・和志さん(同小6、同大会U12カテゴリ出場)とともに、監督を務める父・厚志さん、日本代表の家族らと現地入り。畑や牧場に囲まれたペンションを拠点に、3日間にわたる戦いに挑んだ。
初日は国別対抗戦。各カテゴリから選抜された6人がチームを組み、日本代表として兄弟揃って出場した。強豪スペインを相手に互角の戦いを見せたが、最後に逆転を許して僅差で2位。団体戦では過去最高の成績を収めたものの、悔しさが残る結果となった。
26日の個人戦予選では、普段は落ち着いている真志さんが珍しく緊張。父はライバル選手の隣でウォームアップさせ、自分の実力を実感させるよう工夫した。本番では堂々とした走りを見せ、見事1位で決勝進出を決めた。
迎えた27日の決勝ではコースの難易度はさらに上がり、1ラップ目を終えて3位。トップとの差はわずかで、父の激励を受けて勝負の2ラップ目へ。互いに譲らぬ展開が続く中、最終セクションでライバルのスペイン選手がミス。満点で走り切れば逆転優勝という場面に、会場の緊張は一気に高まった。真志さんは深呼吸をして集中力を高め、最後の走りへ。ライディングには硬さがなく、自信に満ちた動きで障害を次々とクリア。極限のプレッシャーの中でも冷静さを失わず、見事満点を獲得した。完璧な走りで大逆転を果たし世界チャンピオンを手にした真志さんはまぶしいほどの笑顔で表彰台の最上段に立った。
大会後はサグラダ・ファミリアなどを見学し、帰国前には宿泊先のプールで思い切り遊ぶなど束の間の休息を満喫。帰国後はスポンサー企業や知人から多くの祝福を受け、「ごちそうになった焼肉がおいしくて、うれしかった」と笑顔を見せた。
兄弟の練習拠点は、父が自宅横に手づくりした専用コース。放課後はフィールド練習や体づくりに励み、週末は岡山などの競技場で腕を磨く。日々の努力が世界タイトルへとつながった。
兄の和志さんは決勝で8位入賞。「兄弟で同時に世界一!」という夢に向け、2人の挑戦はこれからも続く。

