９月２１日（日）、「西区もくいく 第１回 太山寺の木で休憩スポットを作ろう！」の木工体験が西区役所４階会議室（西区糀台）にて開催され、事前申し込みをした市内在住の小学４年生から中学生の２２人とその保護者が参加した。（主催／西区役所）
　西区役所では西区の魅力の一つでもある里山などを通じて、さまざまな「もくいく」のイベントを開催している。「もくいく」とは、木を子どもの頃から身近に使い、森や木との関わりを主体的に考え、豊かな心を育むこと、また木材や森林の価値をさまざまな視点から正しく知り、木材・森林を活かす人を育てることを目的とした教育活動。
　今回の体験は神戸市で唯一の国宝建造物の本堂がある「太山寺」の原生林から伐り出した木材で机やベンチを作ろうというもの。完成した物は実際に同寺に設置され来訪者の休憩スポットとなる。西区伊川谷にある株式会社四方継（しほうつぎ）の協力のもと行われ、同社の地域コミュニティ事業部・尾上美紀子さんは「西区の国宝である太山寺の木に新たな命を吹き込めるイベントの依頼があり、喜んでお引き受けしました」とイベントに対する想いを話した。
　はじめに西区役所総務部地域協働課・課長の東伸也さんが挨拶し、「太山寺に行ったことのある人は手を挙げて？」と参加者に問いかけ、スライドを用いた導入があった。太山寺についての解説から、今回の材料である楠を伐り運び出す様子、完成した机とベンチを設置する場所は「閼伽井（あかい）橋」を渡った「奥の院」であることなどが説明された。次に同社代表取締役・高橋剛志さんが楠の丸太が製材され、形を揃えられていく工程をスライドで説明。続いて図面を用いて、これから参加者が製作する机とベンチの作業手順を話した。作業手順は、座面や脚となるパーツを①表面を滑らかにするため紙やすりで研ぎ②組み立てビスで留めて完成させる。
　図面には３つの机と６つのベンチが描かれており、参加者は９つの班に分かれて作業を行った。この時に紙やすりの持ち方や、木材には「木表」と「木裏」があり、丸い木目が見える「木表」が机やベンチの表になるようにと高橋さんからアドバイスがあった。参加者は一生懸命に天板や脚を紙やすりで擦り、途中からは目の粗いやすりから目の細かいやすりに持ち替えなおも研ぎ続けた。木の表面がザラザラからツルツルに変わって滑らかになっていくのを手触りで確かめながら作業を行い、会場内には楠の香りが広がった。
　休憩時間にはお土産として太山寺の楠の板やキーホールダーが用意され、参加者はそれらにマーカーペンで絵を描いたり、色を塗ったり、思い思いのキーホールダー作りを楽しんだ。
　作業を再開しいよいよ終盤に。材木に磨き忘れがないか確認していく。すべてが滑らかになると、次は組み立てへ。天板・座面を裏返して脚をはめ込んでいく。同社の高橋さん、尾上さん、奥谷さんが班を順番に周り参加者と一緒にビスで留めて固定していき、机とベンチは見事に完成した。参加者は作品の裏側にそれぞれ名前などをペンで書き込み今日の製作の記念とした。
　最後に机とベンチを図面の通りきれいに並べ、参加者全員で座ると「座り心地がとっても良い」「最高！」「すごい！」といった声が溢れ、皆大満足の様子だった。高橋さんから、机とベンチをただ真っ直ぐの形にするのではなく、フィンランドの有名なデザインを選んだ理由は、休憩スポットを利用する人たちが気軽にコミュニケーションを取りやすい設計だからと説明があった。また東さんからは、机とベンチはこの後すぐに「奥の院」に運び、設置した場所を区役所のホームぺージに掲載するので、ぜひ見てくださいと呼びかけがありイベントは終了した。
　今回、区役所の告知でイベントを知り、母と兄（西神中１）と参加した女の子（竹の台小４）は「たくさん紙やすりで擦って疲れたけど、木がツルツルになって、素敵なテーブルができてうれしいです」と笑みを浮かべた。学校のチラシでイベントを知り、参加した國吉惇史さん（太山寺小４）と母親は「夏休みの工作にキエーロを作ってから木工に興味があり参加しました。製作した机やベンチがずっと残っているのがうれしい。また太山寺に見に行きたい」と楽しみが増えたことを喜んだ。兄弟（長坂小６・長坂中１）を連れて参加した母親は「太山寺にはウォーキングで行ったこともあり、作ることに興味もあったので参加しました。また子どもたちが製作した机やベンチを見に太山寺を訪れたいと思います」と感想を話した。

＊西区もくいく 第２回のお知らせ
　11月15日（土）
「太山寺探検隊～森博士と自然の秘密を発見しよう」
https://www.city.kobe.lg.jp/k25836/kuyakusho/nishiku/oshirase/event/mokuiku.html

完成したベンチに座る参加者たち

イベント後すぐに太山寺に移設された