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神戸常盤女子高演劇部 かがわ総文祭で優秀賞受賞

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神戸常盤女子高等学校(長田区池田上町)演劇部が、7月26日(土)~31日(木)に香川県で開催された「第49回全国高等学校総合文化祭(かがわ総文祭2025)」演劇部門で、優秀賞となる文化庁長官賞を受賞した。

昨年11月の地区大会、県大会を経て、翌月の近畿ブロック大会で最優秀賞を受賞。演劇部初となる総文祭への出場権を獲得した。全国に約2000校ある高校演劇部の中から勝ち抜いた12校のみが出場でき、演劇界の甲子園とも呼ばれている。
総文祭はブロック大会に出場した当時の3年生が卒業した後に開催されるため、部長の安尾彩花さん(3年)は「先輩がいなくて不安だったが、目標にしていた大会なので先輩の思いを引き継いで頑張った」と気持ちを奮い立たせ、夢の大舞台で高い評価を受けた。

上演作品は「キャベツはどうした?」。舞台は3人の女子高生が就職に向けた面接練習の場。進路を考える中で、3人それぞれが悩みや問題を抱えながら世間の常識の違いに向き合う、心の成長と友情を描いたオリジナル作品。脚本を担当したのは顧問15年目となる佐藤慎教諭。「テーマは『当たり前を疑う』。例えばコロッケの常識はみんな同じとは限らない。キャベツはコロッケの添え物ではなく具材に入れる家庭があるかもしれない。それは常識でなくても間違いではない」という思いで脚本を手掛けた。

進路のことで母親と考えが食い違い、不満や疑念を持つ女子高生「トモエ」を演じた安尾さんは、役になり切るため「生い立ちまでさかのぼり、どんな人生を送ってきたか想像を膨らませ、しぐさや話し方を工夫した」と話す。
伊藤綾香さん(2年)は自信のない女子高生「ユーカ」役。「常におどおどしているが、感情を爆発させるシーンに納得がいかず悩んだ。何度も練習を重ね、ようやく演じきれた」と達成感をにじませた。
人前に出るのが苦手な自分を克服するために入部したと話すのは、穏やかな性格の副部長・藤本萌愛さん(3年)。自身と正反対な「トモエ」の母親役を演じ、「初めて声を荒げました。新境地です」と笑顔を見せた。

脚本のこだわりは「セリフがすべて関西弁」と話す佐藤教諭は「関西弁は言葉のキャッチボールが速い」とテンポや心地よさを大事にしている。全員で意見を交わし何度も脚本を練り上げ、また部員たちも脚本を解釈して人物像を作り上げた。さらには親の考えを女子高生は理解できないが、親からすると正論。それは果たして常識なのか?と観客にも世間の常識を考えるきっかけになればと訴えた。藤本さんは「最後は完全に解決していないが問題だったことが問題ではなくなっている。全員が前を向き、一歩踏み出したように感じると思う」と作品の奥深さを語った。

8月23日(土)、24日(日)に東京の新国立劇場で開催された「第36回全国高等学校総合文化祭優秀校東京公演」に優秀校として招待を受け上演した。伊藤さんは「舞台も音響もすべてにおいて素晴らしかった。貴重な経験でした」と声を弾ませた。

佐藤教諭は「演劇は勝ち負けではない。関わったすべての人や観客があってこそ。謙虚な心と感謝の気持ちを忘れず、決して傲慢になってはいけない」と指導する。練習前には「明るく元気に大きな声で!」の掛け声で始まる。明るい雰囲気の中、演じることを全力で楽しみ、さらに部員たちの表現力を引き出して作品をつくり上げていく。これからも演劇部の挑戦は続く。


総文祭での公演

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