ベトナム水上人形劇 発表会

8月20日(水)、南尻池公園(長田区東尻池町)にて、ベトナムサマースクールに参加した子どもたちによる「ベトナム水上人形劇発表会」が開かれ、地域住民やベトナムにルーツを持つ人々が訪れた。(主催/VIAN)
ベトナム水上人形劇はベトナム北部の農村地帯で生まれ1000年以上の歴史があると言われている伝統芸能。人形に繋がる棒をステージ裏で動かすことで、水上で人形が踊り、歌い、縦横無尽に駆け回る様子を表現できる。演目の題材は農村での人々の暮らしを描写したものが多く、人物のほかに動物や精霊も登場する。ベトナムでは水上人形劇専用の劇場もあり、プロの人形劇操者もいる。今回は1969年設立、ホアンキエム湖のほとりに拠点の劇場を持つタンロン水上人形劇場から3人の現役プロ操者が来日し、子どもたちに人形劇を手ほどきする3日間のサマースクールが開かれた。
参加したのはベトナムにルーツがある子ども、韓国、インドネシア、日本の子どもを合わせて19人。人形劇のほかにもベトナム料理のランチを通してベトナムの文化に触れた。また、参加者のベトナム語の名前を漢字にして習字で書く時間もあり、互いの文化に触れながら交流を深めた。劇の準備は練習だけでなく、招待状や演目の「めくり」も参加者が作成。水上人形劇のステージの竹は須磨区の「上穂川フィールド再生・活用ネットワーク」「須磨白川有機の会」に協力を得て、須磨区の竹林から切り出し、それぞれのパーツに加工したものが運び込まれ、組み上げられた。
披露された演目は「テウの口上」「魚とり」「鳳凰の舞」「レロイ王の舟あそび」「ししの球あそび」の5つ。「魚とり」では川や湖が多いベトナムで自然と共に生きる暮らしが描かれた。ブイ・ティエン・バオさん(室内小2)は赤い魚の役を担当。「大人が後ろで支えてくれたから、人形があまり重たくなく動かせた」と語った。見守った保護者は「ベトナムでは昔、テレビで水上人形劇をやっていて、それを見ていました。息子がやってくれて、うれしかった。来年も是非やってもらいたい」と笑顔で語った。「鳳凰の舞」は愛の象徴で、観客の幸せを願って演じられた。赤い鳳凰の役を担当した小林優奈さん(真陽小5)は「棒を遠くに回すのが難しかったけど、ちゃんとできた」と練習の成果が発揮できたことを喜んだ。最後の「ししの球あそび」はベトナムのおめでたいシーンで登場することが多い獅子舞がモチーフで幸運・繫栄・平和への願いが込められている。
各演目の間のMCはトラン・フィー・ヒュウさんらが担当し、解説やキャストの紹介を行った。トランさんは日本生まれ。ベトナム人の両親の元で育った。幼少期には獅子舞を習ったという。「ベトナム文化に触れておくことは、彼らが大人になって意味を持つ時がきっと来るのではと思います」と語った。
運営を行ったVIANのファン・チョン・クォンさん、横堀ふみさん夫妻は「ベトナムと日本の文化交流ができたらとさまざまな活動をしています。ベトナムにルーツがある子どもたちに、そのことを肯定できるようになってほしい。今日のような文化体験が大きくなった時に支えになってくれたら」と子どもたちの未来に想いを馳せた。
タンロン水上人形劇場のレ・チ・キエンさんは「この取り組みは、地域社会にとって、特に生まれ育った場所が祖国ではない子どもたちにとって、とても意義深いものだと強く感じています。その思いが、私を2年続けて参加させる大きな動機となりました。何よりうれしかったのは、子どもたちが水上人形劇を楽しんでくれたこと。今後もこのような課外活動が継続され、子どもたちが祖国への想像力や愛情をさらに育んでいくことを願っています。」と語った。

「レロイ王の舟あそび」

タンロン水上人形劇場の人形操者と

劇の舞台の中に集合したサマースクールの子どもたち