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須磨区

須磨能楽こども教室

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(上)金春流連調を行う参加者たち

夏休み期間の7月下旬〜8月上旬に、須磨寺櫻壽院(須磨区須磨寺町)で小、中学生を対象とした「第10回須磨能楽こども教室」が5回に渡って行われ、20人が参加した。取材日の8月10日(日)には練習の成果を披露する発表会が開かれた。

この教室は、子どもたちに普段触れる機会が少ない日本の古典芸能で、世界無形文化遺産でもある「能楽」の世界に触れてもらおうと、観世流シテ方の笠田祐樹さんが10年前から始めた。本年度は須磨寺櫻壽院での初めての開催となった。櫻壽院の井上真英住職は「悪いものは消え良いものが残っていく。教えを繋ぐことが大切」と語り、長唄や歌舞伎などの伝統文化を子どもたちに繋ぐことに積極的に協力している。毎月第2日曜日には、近所の子どもたちとともにお勤めをして朝食を食べる「さくら大師」という活動も行っている。

能は言葉に節をつけた謡(うたい)という声楽、舞、囃子(はやし)と呼ばれる楽器演奏で構成されている歌舞劇で、多くの場合が能面と呼ばれる仮面を付けて演じられる。神、精霊、鬼などこの世の者ではないものが登場することが多く、様式化された動きで物語が進んでいく。

今回の教室では、舞は笠田祐樹さん、謡は観世流シテ方の上田嶺貴さん、太鼓は金春流太鼓方の横山奈帆子さんが指導にあたった。発表会では子どもたちは「玄象」「鶴亀」「吉野天人」の演目の中から仕舞を1人ずつ披露した。
仕舞とは、能の主要場面を囃子なしで謡と舞だけで演じる形式のこと。「玄象」は琵琶の名手・藤原師長が主人公で須磨の浦を舞台とした演目。「鶴亀」は古代中国の宮廷で、新春の儀式が行われる様子を描いた能。鶴と亀が皇帝の長寿と治世の繁栄を祝って舞った舞を見て、感動した皇帝が自らも舞うという内容。「吉野天人」は春の吉野山を訪れた都人が、満開の桜の下で天人と出会う物語。天人が花の雲に乗って天に昇っていく情景が美しい演目。子どもたちは華やかな袴を身に着け、引き締まった表情で舞ってみせた。

仕舞が終わると、金春流連調を全員で行った。連調では、謡と1種類の打楽器によって能の一部を演奏する。能の囃子は、笛、小鼓(こつづみ)、大鼓(おおつづみ)、太鼓で演奏される。子どもたちは元気いっぱい掛け声を出しながら太鼓を打っていた。

兵庫区から参加した松岡はわいさん(中2)は今年で4回目、妹の朝花さん(小4)は、今年で3回目の参加だという。はわいさんは「発表会が終わってしまうのが寂しいくらい、今回は今までで1番楽しかった。お友達と一緒に参加できたこともうれしかった。来年もぜひ参加したい」と話した。

笠田祐樹さんは「発表会が始まる前に子どもたちと約束をしました。元気よくやりきること、間違ってもどんなハプニングがあっても、自分の力で最後までやること。全員が約束を守ってくれました。子どもたちには、人前に立って何かをする時には人様の時間をいただいて見ていただく覚悟と責任を持つことを感じてもらえたと思います」と話し、今後も能楽こども教室を続けていきたいと想いを語った。


修了証書を手にした参加者と講師たち

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