市民フォーラム「西神中央から広がる西区のまちづくり」

6月28日(土)、なでしこ芸術文化センター内の西神中央ホール(西区美賀多台)にて、これからの西区を考える市民フォーラム「西神中央から広がる西区のまちづくり」が開かれ、約400人の市民が参加した。(主催/神戸市)
1982年3月にまち開きされた西神中央。地下鉄とバスの結節点として、多くの人が行き交う街となり、現在では、新たな区役所庁舎、なでしこ芸術文化センターの建設、広場のリニューアルなどにより生まれ変わりつつある。さらなる活性にはどうすべきかを市民とともに考えるフォーラムが開かれた。
はじめに西区長の豊永太郎さんが登壇。2024年4月に就任した豊永区長は各地域の特徴を活かしながら、区民・事業者・NPOなどの協働のまちづくりに取り組んでいる。豊永区長は「職・住・農・学」が近接している西区の特色について語った。西区と中央区の昼間と夜間の人口比率をグラフにした資料を示し、西区が昼夜ともに約23万人が過ごしていることを説明。昼夜間比率(昼間人口 夜間人口)が97%という数字は西区に住む人の多くは西区で働き、別の区の住民も西区に働きに来ている可能性を示している。また、西区の成り立ちや現在の取り組みなどを発表した。
次に久元喜造神戸市長がファシリテーターを務め、地域に根差して活躍する5人のパネリストと意見交換を行った。
今年9月には西神中央駅の改修が完了予定であることから、ハード面が大きく改善される中、それを生かして西区全体に魅力を広げていくにはどうすればいいのか、各パネリストからさまざまな意見が出た。パネリストは西区で有機農業とカフェレストランを営む稲垣将幸さん、西神工業会の会長・上田勇次さん、灘区でコミュニティ農園の運営などに取り組む坂本友里恵さん、多世代で交流できる「子どもの広場」を運営する「KOBEのはしっ子」代表の辻静花さん、推し本から始まる「隣(とな)る場」づくりを西神中央で展開中の羽田尚子さん。
辻さんや羽田さんは西神中央公園の活用についてアイデアを伝えた。同公園でイベントを開催することが多い二人は、良い公園であるのに利用者が少ないことを案じている。もっと有効活用できるようにと屋根付き、トイレ付きの建物の設置を提案。イベント当日が雨の場合に屋内のプログラムが開催できるのはもちろん、犬とともに利用できるドッグカフェ、読書を楽しむブックカフェ、西区産の野菜を購入できる産直市など日替わりで活用できると話し、夢を膨らませた。
稲垣さんは「西区で作られた野菜を西区の住民の皆さんに食べてもらえる機会が少ないと感じています。地産地消できる産直市のようなお店があるといいなと思っています」と訴えた。西区には畑や田んぼが広がり、有機栽培に取り組む農家も多いが、それらを購入するには駅前から少し離れた場所まで車で行く必要がある。もっと気軽に駅前で購入できる場所があればという意見に会場からも拍手があがった。久元市長は「流通の問題など解決すべき課題はありますが、地産地消は進めるべきだと考えています」と答えた。
フォーラムに参加した西区在住の男性は「西区の可能性をすごく感じた。これからの神戸の中心が西区になっていけばいいなと思った」と話した。
フォーラムの最後にはミニコンサート『西神中央ホールから芸術・文化の発信!』が開催され、神戸空港や西区伊川谷町の太山寺などの写真とともに、音田真陽さんのピアノ、崎元蘭奈さんのチェロ、下田幹さんのフルートの美しいハーモニーが会場を包んだ。
久元市長は「これからも住民の皆さんと直にコミュニケーションを図りながら、生の声を伺える機会を設けていけたら」と有意義な交流を喜んだ。

会場は西神中央ホール

西区長の豊永太郎さん

音田真陽さん(ピアノ)、崎元蘭奈さん(チェロ)、下田幹さん(フルート)のミニコンサート