神戸市埋蔵文化財センター こどもバックヤードツアー

6月8日(日)神戸市埋蔵文化財センター(西区糀台)にて、春季企画展「こべっこ考古学Q&A」(会期/4月19日〜6月22日)の一環で、高校生以下対象の「こどもバックヤードツアー」が開かれ、35人が参加した。(主催/神戸市埋蔵文化財センター)
同館では昨年4月から施設内にアンケート投入箱を設置。展示で気になったことや、遺跡について知りたいことなどのアンケートを取ると1年間で約150件の質問が集まった。企画展では子どもたちから寄せられた「展示されているものはどうやって集めたの?」「土器は何日くらいかけて作るの?」など、素朴な疑問にていねいに回答。解説文の漢字にはすべてルビが振られ、子どもたちは立ち止まりながら、じっくり見て回っていた。
バックヤードツアーは普段は公開されていないエリアを学芸員が案内。「土器整理コース」と「保存科学コース」の2つのコースが用意されていた。
土器整理コースでは、かつて兵庫津と呼ばれていた地域から出土した室町時代の土器を使用。土器は形から作成時代の特定が可能だという。土鍋や羽釜、水がめの一部をブラシで優しく叩いて、泥などを落としていく。「土器が傷ついてしまうので、歯を磨くようにゴシゴシとブラシを横にしてこすらないで下さい」とアドバイスを受け、参加者たちは慎重にブラシをあてて作業にあたった。西区在住の大西真緒さん(5歳)はバックヤードツアーの参加は2回目。本人が参加を希望したそうで「前はパパと来て、今日はママと来た」と笑顔で話した。
保存科学コースでは、まず出土品を安定した状態で保存するための作業を見学。出土品が木製品などの場合はトレハロースという糖を溶かした水溶液を数カ月かけて浸み込ませる。その後、木製品を水溶液から取り出すと、トレハロースが結晶をつくり、木製品を安定させるという。参加者は水晶のようなトレハロースの塊をお土産に渡され、うれしそうに手のひらにのせて眺めていた。次に出土品にエックス線をあてて中身を分析する体験を行った。金属でできた出土品はサビなどで周りが覆われ、中身がすぐには分からないので、エックス線で写真を撮るのだそう。11世紀の中国のお金「皇宋通寶」や、キセルの先、刀、弓矢の先の矢尻など、中身がわかると、子どもたちは「おおー」と興奮した声をあげていた。
長田区から家族と訪れた達川真理さん(小5)、慎司さん(5歳)は「土器を洗ったのが楽しかった」「もっとやりたかった」と話した。ツアーを担当した学芸員の山田侑生さんは「たくさんのお子さんが参加してくれてよかったです。子どもたちとの会話のキャッチボールができたことがとても楽しく、うれしかったです」と話した。
今後の企画展示案内
◎「神戸の山城を描く」〈会期〉7/19(土)~8/31(日)
◎「技術をコメた米づくり」〈会期〉9/20(土)~11/24(祝・月)
詳細、問い合わせはコチラ→https://www.city.kobe.lg.jp/culture/culture/institution/center/

アンケート投入箱

出土品にエックス線をあてた結果を観察