まのっこアグリクラブ

「まのっこアグリクラブ」は、長田区苅藻通にある阪神・淡路大震災の被災地跡地を活用したシェア畑で活動するコミュニティ。「自分で畑を持つのは負担だが、子どもに体験させたい」「気軽に土に触れたい」と考えるメンバーを募集し、道具や苗、肥料を提供する代わりに、出勤前や休日などの空き時間に水やりや草抜きの負担を担ってもらうことで気負いなく農業を楽しめる環境を提供している。
毎月第3土曜日に種まきや収穫などイベントを行っており、子どもは参加無料、大人は近接のカフェでワンドリンク注文で参加できる。農作業の指導には都市型菜園事業「そらばたけ」代表の倉内敏章さんがあたる。取材日の6月22日(土)には20人が参加し、5月に撒いた小松菜を収穫したり人参の種まきを行った。開催時間中の好きなタイミングで参加OK。まずは倉内さんから畑で育成中の作物の説明があった。「これはサツマイモ。収穫の時期はいつかな?」「葉っぱの形はどうなっている?」と10種の野菜を見て回り、雑草抜きと収穫、水やりを行う。「収穫は根っこの部分を持ってね」とアドバイス。虫に驚いていた子どもたちも、土から野菜を収穫して笑顔をのぞかせた。
倉内さんは学校や地域、ビルの屋上でプランターによる小さな畑を広めている。「野菜を作ることがおもな目的ではなく、畑を起点に人が集まり、『話す機会が増える』『自然環境に目が向く』ことを重視しています。耕作放棄地や農家の減少、フードロスなど多くの問題は、生産者と消費者がお互いを知ることで変えていけるはず」と話した。
作業後は、カフェに移動しひと休み。子どもたちは作業のごほうびにジュースをもらい、収穫した野菜の話に耳を傾けた。その後「外来生物展示センター」(長田区苅藻島町)に移動して施設見学。イベント時には農作業だけでなく、自然体験なども行っている。同センターのスタッフからレクチャーを受けた後、メンバーは体験型コーナーや、外来種であるアメリカザリガニ、ジャンボタニシ、在来の川魚の生体展示を見学。最後に感想をシェアした後、記念撮影をして解散した。
土地オーナーの吉田雄治さんは実父が北区の農家出身で、就職後に地元を離れたが、自然共生に関わる仕事に就き環境問題に警鐘を鳴らす義務感を覚えたそう。2024年に同クラブをスタートし、下町風情も残した長田区の苅藻や駒ヶ林の文化を活かした地域の魅力を発信したいと「まちの駅MANONOMA」の活動を始めた。地域と訪問者を繋げる活動にも力を入れている。実際に触れ、体験することで、ニュースで見る問題課題が初めて自分事となる、と話す吉田さん。「楽しい活動に参加することで、自然と社会問題を知り、やがては一人ひとりの生活、行動、活動が自然環境の回復に繋がる『ネイチャーポジティブアクション』に無理なく繋がるきっかけになれたら。幅広い世代に同じ思いをもった仲間が増えることが楽しみです」と思いを語った。
詳細、申し込みはインスタグラムから。
次回の開催は7月19日(土)午後3時〜。

