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湊川神社 楠公武者行列

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5月25日(日)湊川神社(中央区多聞通)からハーバーランド〜新開地〜湊川公園の5・2kmに渡って「楠公武者行列」が行われ、沿道では多くの市民や観光客が見守った。(主催/湊川神社 楠公武者行列実行委員会事務局)

楠公武者行列は湊川神社の祭神である「楠木正成公」ら、騎馬武者に扮した参加者の行列が街を巡る神事。明治7年にはじまり、近年は5年に1度開催されてきたが、コロナ禍で見送られ7年ぶりの開催となった。全長675mの行列には393人と騎馬27頭が参加した。

昭和10年の大楠公殉節600年祭の折に、専門家による厳密な時代考証が行われ、衣装や武具などできるだけ南北朝時代当時のものを再現。現在もほとんどがそのときの武具を使用しているという。今年の祭りに向け、昨夏から神輿、武具一式を蔵から出し、虫干しをして準備を進めてきた。

当日は神社出発に先立って、本殿から神様を神輿に遷(うつ)し、町内を巡幸することを申し上げる神事「神輿発輿祭」が行われた。甲冑姿の騎馬武者らの前陣武者列から順に行列は街へ出る。先頭を歩いたのは鉄杖持人役の林佳澄さん(兵庫区)。楽しそうだったから参加したと話し、「今日は人生で1番写真を撮ってもらいました」と笑った。

大将楠木正成公、副将正季卿とともに湊川の戦いで殉節した御一族十五武者と菊池武吉卿などの騎馬隊が後に続いた。大将楠木正成役は毎回兵庫県知事が務めてきており、今回は齋藤元彦兵庫県知事が務めた。次に大神輿の神幸列本社が続いた。燦然と光り輝く黄金の神輿は多くの役により慎重に運ばれ、正面大鳥居の前で「わっしょい!わっしょい!」の掛け声とともに大きく上下に揺らされた。「魂振り」と呼ばれ、神輿に乗っている神様の霊威を高めて災厄を防ぎ、豊作や豊漁を願うための行為で、神様の力を地域に降ろすための行為としても考えられている。
神輿の後に続いたのは、手縫いの刺繍が施された衣をまとった宮司童と、白馬に乗った垣田宗彦宮司。沿道の声援に手を振って応えていた。社号旗と楠木正成を支えた妻、楠木久子の御霊が遷された葱華輦が続いた。稚児たちが保護者とともに人力車に乗り、長い行列の最後を飾った。行列は湊川公園で御旅所祭を行い、湊川神社に戻って還御祭を行い、幕を閉じた。

切麻役で参加した安國真理子さんは「自分が生まれ育った場所をたくさん周れて、とても誇らしい気持ちになりました。次の楠公武者行列にも、ぜひ参加したいです」と微笑んだ。沿道で観覧していた藤波礼子さん(須磨区)は「馬に乗る人、行列する人、見物する人、老若男女問わず、皆が笑顔で素晴らしかったです。昔の装束が大切に保管され、楠公の心を伝えるお祭りが盛大に行われることは市民の誇り。これからも護り続けてほしいです」と感激した様子で語った。

湊川神社広報室長の鈴木智子さんは「前日までお天気の心配がありましたが、皆様の誠意が神様に通じ無事斎了できました。何よりご神慮の賜物と存じます。往時を偲ぶ立派な歴史行列に大神様さぞご嘉納のことと存じます」と話した。


垣田宗彦宮司


稚児たちを乗せた人力車

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