子ども食堂 みらいの種
5月23日(金)、須磨区文化センター(須磨区中島町)3階で、赤ちゃんから高齢者までが安心して集い、食事が楽しめる場、「子ども食堂みらいの種」が開かれた。(主催/NPOみらいのたね)
今年2月から毎月開催されている「子ども食堂みらいの種」はこの日、4回目の開催となった。同団体代表の佐藤愛理さんは二児の母でもある。孤立や地域のつながりの希薄化といった社会の課題に危機感を持ち「子どもから大人まで誰もが気軽に集まり、食事を通じて心温まる交流を育める場を作りたい」と活動を始めた。
この日は喫食145食、持ち帰り弁当75食の合計220食とスタッフ分の約250食を準備。須磨区内の子ども食堂の中でも極めて多い食数で、スタッフは早くから集まりテキパキと調理した。来た人から順にスムーズに配食するために、番号札を用意するなど、参加人数が多くても混乱しないように工夫している。
スタッフは佐藤さんの友人、地域住民、SNSの募集を見て駆け付けた人、スタッフの友人で奈良県から参加した人、地元中学生などがボランティアとして集まった。初対面でも作業をともにするうちに打ち解け、ハンバーグのタネを捏ねたり、焼いたりしながら楽しそうに交流していた。
食材は認定NPO法人フードバンク関西(東灘区深江本町)や神戸市社会福祉協議会を通して、さまざまな企業・商店から支援を受けている。今回は玉ねぎをはじめとした各種野菜は柾木商店(長田区御蔵通)から、肉は株式会社新生屋食品店(長田区二葉町)から特別価格で提供された。食事料金は子どもは無料、大人は300円での運営を行っている。さらに「子ども食堂みらいの種」の活動に賛同した全国各地のハンドメイド作家20人から寄附された作品をスタッフや子どもたちがフリーマーケットで販売。売上は食堂に参加する子どもたちに配るお菓子の購入費に充てている。
会場には子どもを飽きさせないように遊びのスペースがあったり、食後は同センターで読み聞かせ教室の講師を務める野口明子さんによる「音楽と絵本のすてきなまほう」と題された読み聞かせが開かれた。独自の音楽を加えた「ころころころ」や「あなごたいそう」などの絵本に、子どもたちは目を凝らし聴き入っていた。
また同食堂では、子ども自身に役割を持って関わってもらうため、調理、配膳、後片付のお手伝いスタッフとして積極的に子どもを受け入れている。この日も張り切って手伝う子どもたちの姿が随所で見られた。海老名康太さん(北須磨小6)、咲帆さん(小4)、志帆さん(小4)兄妹は2回目の参加で、お味噌汁を入れたり、さやえんどうのヘタを取って茹でる作業を担当。垂水区から来た上坂優月さん(4歳)と長瀬結愛ちゃん(3歳)は初めての皿洗いと皿拭きに挑戦した。保護者は「家ではなかなかお手伝いをさせてあげる余裕がないから、いい機会になりました」と微笑んだ。
佐藤さんは「やさしさの種、つながりの芽、未来の実りをみんなで育てましょう」と笑顔で話した。
◆ホームページhttps://mirainotane.cocotte.jp
テキパキと準備するボランティアスタッフ
食事の風景