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人生とともに走る名車・クラシックミニ

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 神戸市西区に暮らす同年代の山田慎二さん(西区白水)と門前喜康さん(西区樫野台)。二人を結びつけたのは、英国生まれの名車「クラシックミニ(以下:ミニ)」だった。生産終了から25年が経った今も、全国で約4万台が現役で走り続け、根強いファンの心をつかんで離さない。
 山田さんは須磨区鷹取町にある旧ミニ専門店「AUTOMEMORY」の取締役兼店長。機械が大好きだった山田さんは、小学生の頃から自転車やバイクを修理・改造し、高校では自動車部に所属。F1メカニックに憧れつつ、工業高校卒業後は整備士に。1989年当時、国内にはミニの専門店はほとんどなく、必要な部品を求めて大阪まで足を運ぶ時代だった。誰にもできないことに挑戦したいという思いから、ミニの仕入れを始めた。
 一方、門前さんが憧れのミニを手にしたのは60歳のとき。きっかけは、1995年12月24日、阪神・淡路大震災の復興支援として、神戸ポートアイランドに95台のミニが集結し、巨大なクリスマスツリーを形作ったイベントだった。当時サンテレビの報道部にいた門前さんは、その光景に深く心を打たれた。16年後、消えることのない感動を胸に山田さんにミニ選びを託し、念願のオーナーとなった。赤いボディは山田さんの手でアイランドブルーに塗り替えられ、細部まで丁寧に整えられた。
 今年4月6日、「AUTOMEMORY」とミニ仲間のグループ「AMツーリング」が共催し、震災から30年の記念イベントを企画。ミニ文化の第一人者である丸山和夫さん(株式会社ミニマルヤマ代表)を迎え、東京から岡山まで45台・71人が淡路島に集結。色とりどりのミニが春の道を彩った。30年前のクリスマスツリーに参加した人々も再び顔をそろえた。さらに、初心者マークを付けた19歳の若者の姿に、丸山さんは「彼に勇気づけられた」と喜んだ。
 山田さんと門前さんは「ミニは恋人のような存在。手を抜けば機嫌を損ね、愛情を注げば応えてくれる。まさに人生の伴走車=者(人)」と声を揃える。「調子は音や匂いでわかる」という門前さん。娘もAMツーリングの仲間と結婚したと話し、山田さんも「ミニは人生そのもの。人と人をつなぐコミュニケーションツール」とうなずく。修理や仕上げには3カ月ほどを要するが壊れても直しながら乗り続ける  そんな人間味あふれるミニを通して、山田さんと門前さんの交流は続く。

ミニ初購入のお客様と打合せする山田さん


門前さん(左)の愛車をバックに丸山さん(右)とパチリ!

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