第11回須磨医療フォーラム「老化に伴うトラブルについて」
5月25日(日)、須磨区医師会が、医療を取り巻くさまざまな問題を市民とともに考える機会として、「第11回須磨医療フォーラム」を須磨区役所(須磨区大黒町)で開催した。手話通訳もあり、約200人の市民が参加した。(共催:須磨区歯科医師会、須磨区薬剤師会、須磨区役所)
6講演のテーマは「老化に伴うトラブルについて」。骨粗しょう症、排尿障害、精神障害といった代表的な事例とその治療について各専門医が話し、口腔外科医・薬剤師・保健福祉課らは歯のトラブルケア、薬局の便利な活用法、フレイル予防について、日常的な視点から講演を行った。
新須磨病院の髙石吉將医師(脳神経外科・脊髄治療センター)は「骨粗鬆症と圧迫骨折」について講演。高齢になり、骨がもろくなると、軽微な外傷から背骨の前方にある椎体がつぶれて変形してしまう「脊椎圧迫骨折」が起こりやすい。「脊椎圧迫骨折は痛みが強く、動くことができない。それに伴って食欲が落ち、生活の質がガクッと落ちる」と指摘。結果的に下肢筋力の低下や、認知機能の低下につながるため、積極的な治療が必要と話し、早期回復に有効な、セメント・バルーンを使った椎体の復元や、骨を作り出す骨芽細胞の機能向上に向けた服薬による治療法について説明した。
「高齢者の排尿障害」について講演した、兵庫県立加古川医療センターの安野恭平医師(泌尿器科)は、QOL(日常生活の質)を低下させる問題の一つである排尿障害の中から、過活動膀胱・夜間頻尿・前立腺肥大について取り上げた。薬による治療と生活習慣改善、手術療法について説明し、「年のせいだと諦めたり、恥ずかしがって受診をためらう方が多いが、風邪薬などが原因でトラブルが起こっていることも。原因を知るために、ぜひクリニックを利用してほしい」と呼びかけた。
ほかにも「(歯は)抜ければ金どろぼう、残せば金ののべ棒」〈新須磨病院 小林正樹医師(口腔外科)〉や、「寝床に悩みは持っていかない」〈しあわせ心療内科 財田一也医師(精神科・心療内科)〉と、各専門医から受診のハードルを下げる言葉掛けがされた。参加者は、それぞれの症状やトラブルに合わせた日常での注意点や、予防法についてメモを取り、うなずきながら聞き入っていた。
区役所でチラシを見て足を運んだという女性(須磨区道正台)は「75歳の身内がおり、関連のある講演があったので初めて医療フォーラムに参加しました。各担当医のお話が興味深く、特に口腔ケアについてはすぐに取り組めると感じた」と話した。
「骨粗鬆症と圧迫骨折」について講演した髙石吉將医師(右)