啓明学院高等学校 能登復興支援ボランティア
啓明学院高等学校(須磨区横尾)2、3年の生徒48人が5月3日(土・祝)~6日(月・祝)、石川県鳳珠郡能登町で復興支援ボランティア活動を行った。
同校では夏休みを利用して生徒が学ぶ機会を創出するサマープロジェクトを実施しており、その一環として2023年夏に生徒11人が石川県鳳珠郡能登町を訪問。地域住民や能登高校の生徒と協同で地域創生学習に取り組み、交流を深めた。その翌年、元旦に能登半島地震が発生。支援の在り方を模索していたところ、9月に記録的な豪雨により河川の氾濫や土砂崩れが相次ぎ、再び災害に見舞われた。能登町訪問時に親交を深めたという地域コーディネーターと同校の青木友平教諭との繋がりから支援活動のプランを練り、10月に生徒39人が2泊3日の能登町でのボランティアを実施。現地では泥かきや片付け作業を行った。
2度目となる今回のボランティア活動には前回に続き参加した生徒も多く、その一人、前田将真さん(2年)は「手伝えることがあれば率先してやりたいし、若いからこそできる力仕事がある。そして元気を届けたい」と参加理由を話した。宿泊は能登町にあるボランティアのためのキャンプ場でテント泊、入浴のみ国民宿舎を利用した。今回の活動はおもに泥かき作業で、能登町の光明寺の本堂軒下に潜って泥をかき出したり、池の泥出しを行った。大量の泥は2日間で約400回のバケツリレー方式で運び出され、総重量は約2トンにも及んだ。さらに、再び浸水するのを防ぐための、土のう作りも行った。石割ななかさん(2年)は「前回は作業をすると申しわけないと謝られていたが、今回は笑顔が増え『孫が来てくれたみたい』と喜んでくれた。私たちに伝えるために辛い話も聞かせてくれた住民の方との交流に、繫がりの大切さを改めて感じた」と振り返った。
初日と最終日には珠洲市や輪島市周辺の被災地を視察。輪島朝市にも足を運んだ。福田優さん(2年)は「倒壊したままの家屋や水道管がむき出し状態の場所もあり、全体的に更地が増えていて殺風景に見えるが、これは前に進んでいるということ。地域の方も前向きに捉えていた」と希望を感じたという。生徒たちに加え、地域コーディネータ―や役場の職員も参加した最終日前夜のミーティングでは活動を振り返り、グループの代表11人が発表。積極的な意見が飛び交った。
被災地支援は状況により必要とされる支援の内容が変わることから青木教諭は「被災地の状況を把握し、現地の要望を聞いた上で活動場所や内容は現地入りしてから柔軟に対応した」と話す。また「忘れ去られるのが心配」という現地の声を受け「息の長い支援が欠かせない。今後も支援活動を続け、さまざまな形で発信していかなければ」と力を込める。
生徒たちはボランティア活動を通じて得るものは多く、石割さんは「『ボランティアに行かせてもらっているという気持ちを忘れないように』という先生からのアドバイスに相手の気持ちを尊重するように心掛けた」と話す。福田さんは「南海トラフ地震に備えて私たちの世代が中心となり何を率先してやらなければいけないかを学べた」と自信をのぞかせる。前田さんは「人を助けたいと思うが、まずは自分の命を守ることを再優先にして欲しい」と力強く話した。
支援場所へ
バケツリレー方式で泥出し
夜の野営地
被害のあった各所の見学も行った