活き生き健康セミナー
活き生き健康セミナー
4月22日(火)、神戸総合運動公園グリーンアリーナ神戸(須磨区緑台)1階会議室にて日々の健康、体力づくりについて考える「人生100年時代の健康づくり 今日からはじめる活き生き健康セミナー」が開催され、約40人が参加した。(主催/特定非営利活動法人神戸アスリートタウンクラブ)
同セミナーは「健康寿命を伸ばすために」をテーマに三輪整形外科クリニック(垂水区舞多聞西)の三輪啓之院長が講演した。「人生100年時代」を自分の足で歩ききるために、また健康寿命を伸ばすために必要な日々の心がけについて語った。
健康寿命とは日常的・継続的な医療・介護に依存しないで、自分の心身で生命維持し、自立した生活ができる生存期間のこと。世界有数の長寿国と言われる日本の平均寿命は男性81.1歳、女性87.1歳で男性は世界2位、女性は世界1位となっている。この平均寿命から、寝たきりや認知症など、介護が必要な期間を差し引いた期間は男性は72.6歳、女性は75.3歳となる。寝たきりとなる主な原因は1位が脳血管疾患、2位が高齢による衰弱、3位が骨折・転倒となっており、この骨折の原因に骨密度の低下(骨粗鬆症)が考えられる。骨粗鬆症の人の骨は、新しい骨をつくる働きが古い骨を壊す働きに追いつかず、骨折をしやすい状態になっている。骨折しやすい部分は足や腕のつけ根、背骨、手首が挙げられる。中でも、足のつけ根(大腿骨が骨盤と接する部分)を骨折する人は2023年では年間25万人に上り、10年弱で約1.4倍に増えている。
また、背中や腰が曲がる・痛む、身長が縮むといった症状に加え、脆くなった骨に力が加わり骨が潰れる圧迫骨折に気をつけなければならない。
骨折や変形が起こってしまうと、急性や慢性の痛みの原因となり、痛みが出ると動きたくない→筋力が下がる→生活の質が下がるという負の連鎖に陥る。女性は特に閉経後に女性ホルモンが減少し骨が痩せるため、1日600㎖のカルシウムを摂ることを心がけるとよい。カルシウムが多い食品はマイワシ、桜エビ、しらす、干しわかめ、小松菜、豆腐、納豆など。カルシウムの吸収を助けるビタミンDは干し椎茸、サンマなどに含まれ、日光に当たることでもビタミンDが活性化する。骨と筋肉を鍛えるためには膝や足首に負担をかけないように水中で歩いたり、日中の散歩が有効である。
家の中で転倒を防ぐための工夫も重要で、7割の高齢者が自分の家は安全と感じているが、ヘルパーがチェックすると安全な住居は3割という。部屋のマットをきちんと固定したり、浴室に手すりや滑り止めマットを敷くなど、少しの心がけで転倒を防ぐことができる。骨折しにくい住環境のポイントは『ぬかづけに注意』。これは特に躓きや転倒が起こりやすい「ぬ」れている所、「か」いだん、片「づけ」られていない所を指し、注意が必要であると話した。
参加者の安藤和さん、村上左江子さんは、「骨粗鬆症について以前から気になっていたので、丁寧な説明を伺えてよかった」「ベランダから部屋に戻る所の段差に注意しようと思った」と振り返った。
グリーンアリーナ神戸を運営する特定非営利活動法人神戸アスリートタウンクラブの金﨑正義さんは「今回、健康寿命を伸ばしたいという想いをお持ちの三輪先生にご縁をいただき、初めてこのようなセミナーを開催しました。定員を超えるお申込みをいただき、関心の高さが窺えました。健康なように見えるトレーニング施設利用者様にも膝や腰にさまざまなお悩みをお持ちの方が多いので、お役に立てるような講習会をまた企画していければ」と語った。
講演した三輪啓之医師(三輪整形外科クリニック院長)