奥須磨公園で春探し
3月29日(土)、奥須磨公園(須磨区多井畑)にて、須磨の豊かな自然環境を子どもたちに体験してもらうためのイベント「奥須磨公園で春探し」が開催され、60人が参加した。(共催/須磨区役所、須磨区小学校PTA連合会、よこお自然塾、ドングリネット神戸)
当イベントは奥須磨公園内を自然に詳しい3人の講師と一緒に歩きながら、春ならではの植物や生き物を探す観察会。当日は少し肌寒さを感じる空模様だったが、事前申し込みの親子が遊具広場に集合。その前を流れる小川沿いの散策から始まった。
「この小川は塩屋谷川の源流で絶滅危惧種の生物も生息している」と教えるのは「よこお自然塾」代表の髙畑正さん。小川沿いに生えているセリやクレソンを紹介したり、ツバメシジミなどの蝶を観察しながら歩いた。子どもたちは網で水中の生き物をすくいとって観察。ミナミヌマエビやイトトンボの幼虫を見つけて「岩場の影にいたよ」と興奮ぎみに周りの大人に教える子も。
「ドングリネット神戸」の中西收さんは、ラクウショウ(落羽松・別名ヌマスギ)の「気根」について紹介。小川近くの地面からニョキニョキと出ている50㎝ほどの木のコブのようなものを気根と呼び、ラクウショウはこの気根を地面から出すことで空気を吸っている。また、園内には紅葉で有名なイロハモミジの花が咲いていた。小さな赤い花が4~5月頃に咲くことや、葉の切れ目を「いろはにほへと」と数えたことから「イロハモミジ」と名付けられたと話すと、参加者からは「へぇー」と驚きの声が漏れた。
北須磨小学校の学校林にカブトムシの生息環境をつくり、現在は「須磨ふるさと生きものサポーター」として活躍中の山本勝也さんは、カブトムシが吸いに来るコナラの樹液を紹介。夏の夜、樹液が発酵して出る糖分を求め、カブトムシが集まるのが20時頃と話した。
当日は落ち葉の下の土壌からカブトムシの幼虫を見つけ、子どもたちは大喜び。中内楓乃さん(小3)、颯久さん(小1)姉弟は、手のひらに幼虫を乗せて、その感触に興味津々。最初はおそるおそる触っていた楓乃さんも「生き物を飼ってみたいと思っていた。連れて帰って育ててみたい」と初めての挑戦にワクワクしている様子だった。
散策中、ウグイスの声に耳を澄ませたり、あちらこちらに生えたツクシを摘んだりと、参加者は春を満喫した。秋元陽介さん(西須磨小3)、絢介さん(小1)は「ツクシがたくさんとれた。家に帰って天ぷらにしてほしい」とリクエスト。父親の恵多郎さんは「奥須磨公園にはよく遊びに来ますが、知らなかったことがたくさんありました」と話した。
小川を伝って池に近づく頃、モクズガニを発見。モクズガニは汽水域や海域で産卵するため、そこから奥須磨公園まで川を遡ってやって来ることを知ると、子どもたちは目をまん丸にして驚いていた。海の生き物が特に好きだという須磨区の岩井智浩さん(小4)は「知らなかったことを教えてもらえて、知識が増えました」とうれしそうに話した。
最後に、灘区、北区、西区、明石市などではすでに見つかっている特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」についての注意喚起があった。クビアカツヤカミキリの幼虫はサクラやモモ、ウメの木の内部を食べて木を弱らせ枯らしてしまう。放っておくとまた別の木に卵を産み、次々に木が枯れていく。成虫は5~8月にしか見られないが、幼虫は木くずと幼虫のふんが混ざった「フラス」を木の外側に排出し、幹や根元にたくさん溜まるのが目印となる。木を守り、将来花見ができなくなることを防ぐために、公園、学校、庭にある木で見つけたらすぐに通報してほしいと講師が説明した。
クビアカツヤカミキリ通報先
◇兵庫県自然鳥獣共生課TEL(362)3389 または
◇神戸市環境局自然環境課TEL(595)6216