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第78回全日本学生音楽コンクール全国大会 ピアノ部門 中学生の部 頂点へ!

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 「第78回全日本学生音楽コンクール全国大会」(主催/毎日新聞社)ピアノ部門中学生の部が12月1日(日)、横浜みなとみらいホールで開催され、市立太山寺中学校(西区学園東町)3年(取材当時)の中山裕稀さんが1位に輝いた。さらに、この実績が評価され「第43回こうべユース賞」を受賞した。
 昨年9月に開催された大阪大会の予選、翌月の本戦を経て、全国大会出場権を獲得。全国大会には各地区大会を通過した13人が出場し、見事頂点に立った。「満足のいく演奏ができたけど1位は正直びっくりした」と謙遜するが、中山さんは公募で選ばれた選定委員が最も感動や印象に残った出場者に投票する「横浜市民賞」も手にした。「聴いている人の心に響く演奏を届けられたことがうれしい」と達成感をにじませた。
 全国大会の条件は自由曲で制限時間内の演奏であれば複数曲も可能。選んだ曲目は、シューマンの「アレグロ作品8」とプロコフィエフの「悪魔的暗示」の2曲。「アレグロ作品8」は叙情的で華やかなソナタ形式。曲想の変化が大きく、構成を理解し楽曲に込められた思いや背景などの解釈から始めたという。「曲のそれぞれの場面を想像して表現を工夫した」と楽曲に向き合い、丁寧に仕上げることで演奏に説得力が増した。「悪魔的暗示」は荒々しい独特なリズムで、しかもテンポが速くテクニックを要する楽曲。「気合がいる曲」と話すが、実は俊敏な指さばきを得意とする中山さん。「まったく違う2曲を対比させることで、それぞれの曲の特徴が鮮明になった」と分析する。
 中山さんは元音楽教諭だった母親の真由美さんが自宅でピアノ教室を開いていたこともあり、幼少の頃からピアノに慣れ親しんでいた。6歳で初出場したバッハコンクール全国大会で銀賞、翌年には金賞に輝いた。「第21回ショパン国際ピアノコンクールinASIA小学3・4年生部門」金賞、「第39回JPTAピアノオーディション中学生部門」は最優秀賞を獲得、昨年は「第25回日本演奏家コンクール中学生の部」で1位に輝き、東京フィルハーモニー交響楽団と共演を果たすなど数々のコンクールで輝かしい成績を収めている。
 中山さんは「ピアノは楽器の中でも音域が広く、ほかでは出せない表現ができるのが魅力」と語る。また、「音楽は心を動かす力を持っている」と話し、同コンクールの聴衆が投票した横浜市民賞を受賞したことが何よりうれしかったと打ち明けた。「盛り上げ役で、誰とでもすぐ仲よくなれる」と社交的な性格の中山さんは、多くの仲間と学校生活も楽しみながら、その日常の一コマも体験の一つとして表現力に繋がっていると考える。さまざまな体験や感情をピアノにのせることで聴く者を魅了できるのが中山さんの強みとなっている。「負けず嫌いで目標に向かって努力を惜しまず頑張れる性格」と真由美さんが話すように毎日3~4時間の練習を欠かさず、いろんな楽曲にも挑戦したいと笑顔を見せる。
 春からは高校生になる中山さんは「新しい出会いが楽しみ」と高校生活を心待ちにしている。来年は同コンクールの高校生の部で出場したいと意欲を見せる。将来は音楽関係の道にすすみたいと夢に向って突き進む中山さんの今後の活躍に期待が高まる。

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