リアル夢見る先生たち「オモロー授業発表会」
12月15日(水)、垂水年金会館(垂水区平磯) の大ホールにて、「第1回リアル夢見る先生たちオモロー授業発表会」が開催され、教育関係者、保護者、小中高生など約100人が参加した。(主催/垂水の教育を考える会)
「オモロー授業発表会」とは、おもしろい授業や取組みをしている地域の先生を見つけ出し、その取組みをほかの先生や保護者、生徒たちに向け発信してもらう授業発表会。関西から始まり、これまでに100カ所以上で開催されている。発起人は株式会社ワンピース(加古川市)取締役会長の久本和明さん。映画『夢見る小学校』(製作/2021年、監督/オオタヴィン)を観て「教育の本丸は公立学校である。地域の小中学校にも必ず夢見る先生たちがいるはずだ」と想いを抱き、2023年に立ち上げた。
この会の特徴の一つが、主催者が教員ではなく、地域の教育をより良くしたいと願う保護者や地域住民であること。今回は垂水区の小学生の保護者が、家事・育児・仕事もある中、企画・運営を行った。もう一つの特徴は発表者がおもに公立学校の先生であること。これは参加する公立学校の先生にとって、明日からでも自身のクラスで取り組める内容であることが多い。
たけのこども園(垂水区山手)の園長、大濱健一さんは「自分らしく~できなくたって大丈夫」というタイトルでお神輿作りを通した学びについて語った。幼児期の豊かな遊びや体験の中で、失敗は自分の感情の立て直し方を模索する経験になること、教育者は子どもが自分自身で設定したことに主体的に取り組むよう見守りながら、必要な時に「助けて」と言ってもらえる関係性を築くことが重要と語った。
公立小学校で1年生を受け持つ大谷美智子さんは「十人十色なクラスづくり」と題しカラータイプを取り入れた手法を紹介した。大谷さんが長男との関係性で悩んだ時期にこのカラータイプと出会い、クラスに導入した。これは行動色彩心理学をもとに開発されており、価値観や行動の意味を知るツールとして使うことができる。登校すると児童は教室後方の黒板にある13色の色の中から、その日の自分の気持ちに近い色の所に名札を貼っていく。普段その児童があまり選ばない色や黒、グレーなどを選んだ日は気にかける目安になるという。「子どもの個性を認め尊重し、子どものなりたいを応援すれば、自信を持って自分の道を自分で見つけて進んで行けるのでは」と締めくくった。
公立小学校で勤務する藤原安理さんは「主体性を育むために」と題し、子どもを受容することの重要性を訴えた。子どもをコントロールするのではなく、支援する基本的な考え方としてMKDM法という考え方がある。M=待つ、K=聴く、D=黙る、M=見守ること。「そっか」「それで」と耳を傾け、話を遮らずに聴くことが大切であると話した。
オモロー授業発表会全国実行委員長で公立高校教師の坊佳紀さんは、各地で行われている発表会に参加し、子どもが主役の学校づくりについて対話しながら、繋がりを広げている。発表では坊さんが受け持つ高校1年のクラスでの取組みが紹介された。学級通信の発行、交換日記、保護者のオススメの本を持ち寄り作った保護者文庫、ホームルームの時間の担任交換などを実践してきたという。中でも、子どもたちの反応が大きかったものとして、親が子どもが生まれた時の事、子どもへの想いを書いた手紙のプレゼントだったそう。これは三者面談時に子どもは先に教室を退室してもらい、保護者に返信用封筒を渡すとともにこっそり依頼して書いてもらったもの。後日「命の授業」の際に手渡すと涙を流した生徒も多数いたという。坊さんは「生きる力の土台は愛。自己肯定感は親から愛された記憶」と語り、保護者や地域を巻き込み、それぞれが調和しながら子どもを見守っていきたいと訴えた。
各発表の合間にはわっかトークという時間が設けられ、隣席者との意見交換が活発に行われた。参加した高校生からは「先生に対して良いイメージがなかった。でも、今日、いろんな先生の話を聴いて、将来教員の道に進むのもいいなと思えた」という感想があり、会場は応援の声で溢れた。
また、まだ開催されていない淡路島や西宮でもオモロー授業発表会を開催したいと手を挙げる人も出た。
今回の開催を企画・運営した保護者会会長の阿部麻希さんは「初めての垂水開催で、どのくらい人が来てくださるか最初は不安でしたが、100名以上の方に来ていただき、うれしいです。保護者の立場から私が今できることにこれからも挑戦していき、信頼し合える世界をつくっていきたい」と熱を込めて語った。
「オモロー授業発表会」
大濱健一さん
大谷美智子さんよりカラータイプを取り入れた手法について
藤原安理さん