お寺でお餅つき大会
12月29日(日)、性海寺(西区押部谷町高和)にて「おてらでみんなでおもちつき大会」が開催され、お正月用のお餅をつく多くの家族連れで賑わった。(主催/性海寺盛り上げ隊)
同イベントは、性海寺周辺に住む住民や農業を営む有志、「みんなのNPO法人」などからなる「性海寺盛り上げ隊」の主催で初めて開催された。
性海寺は高野山真言宗の寺院で奈良時代である天平2年(730年)に創建された。行基菩薩によって開かれ、播州の学山として大いに栄え、七道伽藍(しちどうがらん)完備、70余りの僧坊が甍を連ねていた。明治維新まで24の塔頭(たっちゅう)寺院が存在し、広大な敷地を有していたが、大半の寺院が焼失し、現在は2寺のみとなったと前住職の上田實明さんは語る。
創建1300年を前に、本堂再建を目指すこの歴史ある寺院の存在をより多くの人に知ってもらい、訪れてもらいたいという願いから、性海寺盛り上げ隊はお寺でマルシェや餅つきなどを企画し、活動をしている。
この日も餅つきと同時にマルシェも開催され、地元で採れた大根に漬物、手でメレンゲをたてるところから名づけられたシフォンケーキ「てめれんげ」などが人気を集めた。
餅つき用の餅米は32キロ用意された。次々に蒸しあがる餅米を38組の参加者が順につき、ピカピカのお餅ができあがった。
この日1番にお餅をついた志智秀樹さん(明石市)は、妻と娘の葵生ちゃん(2歳)と参加。妻の実家が西区で性海寺に近いことからイベントを知り参加した。志智さんは「以前は毎年お正月にお餅つきをしていました。12、13年ぶりでしたが、長年やっていたので感覚を身体が覚えていました。子どもはお餅つきは初めてで、いい経験になったと思います」と愛娘との初めてのお餅つきに顔が綻んでいた。
垂水区から両親と、5歳と1歳の兄弟と一緒に参加した前田壮佑さん(舞多聞小2)は餅つきと、餅を丸める作業を楽しんだ。兄弟は年長の壮佑さんから順番に、父親と一緒に「よいしょ。よいしょ」の声を掛けながら餅をつき、次は丸める作業へ。上着の袖を餅とり粉で真っ白にしながら、家族みなで楽しく餅を丸めた。母親は「このお餅は新年に雑煮にして家族で食べたいと思います」と笑顔。子どもたちは丸めた餅に主催者手作りの醤油をつけて頬張っていた。会場では自然栽培で作られた小豆を使ったおしるこも用意され、多くの参加者がつきたての餅と一緒にほっこりと味わっていた。
「みんなのNPO法人」の代表、鈴木加奈子さんは、2023年に農と食と教育を柱にした活動を仲間とともに楽しむための法人を立ち上げた。オーガニックマルシェの開催や小規模自然栽培農家が農地を広げるための応援を行っている。「次は5月25日に旧北野小学校でオーガニックマルシェを開催するので、たくさんの人に遊びに来てもらって、本物の野菜の味を知ってもらいたいです」と語った。
また、性海寺盛り上げ隊の山本圭吾さんは「子どもも大人も関係なく、餅をつく人、見る人が無邪気に楽しんでくれていてうれしかった。来年もやりたいです」と満面の笑顔で語った。
前住職の上田實明さん
性海寺盛り上げ隊のみなさん