令和6年度 人権のつどい
12月5日(木)県立のじぎく会館大ホール(中央区山本通)で「令和6年度人権のつどい」が開催され、約350人が参加した。(主催/兵庫県、兵庫県教育委員会、(公財)兵庫県人権啓発協会、ひょうご人権ネットワーク会議)
1948年の第3回国際連合総会において、「世界人権宣言」が採択された12月10日を最終日とする1週間を日本では「人権週間」と定めている。兵庫県では、「人権週間」の意義を広く県民に周知し、人権意識の普及高揚を図るため、毎年「人権のつどい」を開催している。
最初に、元陸上日本代表でひょうご人権大使を務める小林祐梨子さんが開会宣言を行った。続いて、人権文化をすすめる啓発事業の一つで、人権問題に関する作品(文芸・動画・イラスト)を募集した「HYOGOヒューマンライツ作品コンテスト」の表彰式が行われた。同コンテストには3部門で約400点の作品が寄せられた。イラスト部門の最優秀賞を受賞したのは県立舞子高等学校天文気象部2年の丸山伊涼さん。作品名は「星空のもと、人類平等」。丸山さんは「星空は世界のどこからでもきれいに見える。その星空のもと、世界中のすべての人類が平等だという想いを込めた」と話した。
人権講演会では、木村響子さん(NPO法人リメンバーハナ代表理事)が「ヤサシイハナ ヲ サカセマショウ~みんなで考えるSNSの今と未来~」と題して講演を行った。木村さんは令和2年にSNSでの誹謗中傷により最愛の娘である木村花さんを失った。花さんのために出来ることはないかと考え、誹謗中傷の被害者も加害者も減らしたいと啓発活動に取り組んでいる。
木村さんは最初に「一番大事にしていることは正解を決めないこと」と話した。人権やSNSの問題は変化するスピードが速く、今正解とされることを伝えるのは意味がないという。「今日は自分の心と向き合い、最善の選択ができるようにみんなで考えていきましょう」と参加者と意見交換をしながら対話形式で進められた。
木村さんがSNSに関するさまざまな議題について問いかけると参加者から活発な意見が挙がった。未成年が犯罪に巻き込まれる率が増えた現状を受け、諸外国ではSNSの年齢制限があるのに対して日本は個人情報の同意について法律がないことに警鐘を鳴らし、整備が必要だと訴えた。また、誹謗中傷と批判の違いを説明し、その間のグレーゾーンにも触れ今後はこのグレーゾーンを狭めることが課題だと指摘する。さらには、被害を受けた時の対策や相談窓口についても紹介した。
「侮辱罪が厳罰化されたが、それで終わりではなく、まだまだ問題は山積み。私たちのような苦しい想いをして欲しくない」と話し「皆さんにはいろんな言葉を知ってほしい。言葉を知らなければ攻撃的な言葉が出てしまい、SNSの中ではさらに酷くなる。誹謗中傷の言葉が少しでもなくなって優しい言葉が繋がる世界になれば」と締めくくった。
難病「クローン病」を克服し、演奏活動を再開した、さくらいりょうこさんによるミニコンサートも開かれ、オカリナの柔らかな温かみのある音色が会場に響き渡り、生きることを諦めなかった自身の体験も語った。垂水区在住の50代女性は「木村さんの言葉には力があり、その力強さの背景を知ることで改めて人権について考える時間となりました」と感想を話した。
(左から)県立舞子高等学校天文気象部 丸山伊涼さん、穂積正人教諭
人権のつどいイラスト部門最優秀賞