竹林を活かし竹を楽しむ体験を!自然環境サミット2024 多井畑フィールド
11月23日(土)、多井畑フィールド(須磨区多井畑)にて、「自然環境サミット2024多井畑フィールド~須磨の豊かな自然を次世代に!~」が行われ約160人が参加した。(主催/須磨FRSネット)
主催の須磨FRSネットは須磨の自然を愛し、保全・啓発活動を行う18の団体が加盟するネットワーク。環境活動の輪を広げるために2009年に結成され、須磨区とも協働しながらさまざまな取組みを進めている。
今回のサミットでは、全国的に問題となっている放置竹林(竹藪)をどうするのかをテーマとし、全プログラムを屋外で開催した。
開会にあたって、多井畑自治会長の増井良夫さんにより多井畑の歴史が語られた。太古の多井畑は海と陸の分岐点であったため、造成工事などでも貝化石の発見があることや、平安時代では松風・村雨の逸話、源義経らが通った一の谷合戦への道筋についてなど、歴史的にも魅力ある地区の話に参加者は耳を傾けた。
また、森林病理学・樹木組織学を専門とし、予防医学の観点から里山や人工林の健康維持に取り組んでいる神戸大学名誉教授・神戸市副市長の黒田慶子さんは、里山の荒廃は資源を活用しないことにあると話した。神戸市では付加価値の高いKOBE備長炭の生産や、竹の堆肥化など、竹林を含む里山資源の循環型利用に取り組んでいることを紹介。また、地域の昔を知って、今を見て、次の世代が大人になる時にどんな形にして渡したいかを考えながら行動してほしいと参加者に呼びかけた。
3年前から多井畑の放置竹林を整備してきた上穂川フィールド再生活用ネットワークの伊與田安正さんは竹林の現状について報告。現在、多井畑西地区北部の竹藪が猛烈な速度で拡大しており、雑木林が竹にほぼ占拠されている。先人が手を入れ続けてきた里山を放置せず、活用して新しい里山に再生することの重要性を訴えた。
その後、参加者は竹林整備コースと竹遊びコースに分かれ、それぞれの活動を行った。竹林整備コースでは、少人数の班に分かれ、竹伐採、竹炭づくり、竹チップ化作業が行われた。参加者は安全対策としてヘルメット、防護眼鏡、軍手を装着した上で、指導を受けながら作業にあたった。
竹遊びコースでは耕作放棄地を開拓した広場で野遊びを楽しんだ。広場中央に設置されたのは「竹のとりで」と呼ばれるアスレチック。制作にあたった淡路景観園芸学校2年の山﨑快彦さんは「1日4~5人で作業して、4日くらいで仕上がりました。地元が須磨区なので、今後も多井畑のフィールドと関わっていきたい」と話した。子どもたちは竹のブランコやすべり台で大はしゃぎ。垂水区から参加した小学生の兄弟は「竹のブランコは座るところが滑って、ちょっとだけ怖いけど、楽しかった」と話し、広場からは笑い声が絶えなかった。
ほかにも「妙法寺竹援隊」の竹の貯金箱作りや、「れいんぼぅ☆キッズ」の木の葉を透かして見る遊びなどが用意され、大人も子どもも自然に触れ楽しんだ様子。
プログラムの最後はHALE SUMAによるフラダンスの披露。竹林でのフラダンスに、参加者はゆったりと見入っていた。
須磨区から参加した信田ちひろさんは「すぐ近くにある日本の原風景のような場所で1日過ごし癒された」と満足した様子。
多井畑古民家改修プロジェクトに関わり、この日の司会を務めた中本智子さんは「今、私たちの暮らしは自然と切り離された整った環境が普通だと思われているが、少し歴史を辿れば、暮らしの中に農や自然と当たり前に関わり合い、文化が生まれ、ここまで繋がってきました。いろんな知恵や想いを受け取って、子どもたちの世代に渡せるように、できることから一つずつやっていければ」と語った。