JUMP FESTIVAL in KOBE
11月3日(日)、新長田鉄人広場(若松公園・長田区)で「JUMP FESTIVAL in KOBE」が開催された。街中で行われるオリンピック代表選手や地元高校生選手による迫力あるジャンプを、至近距離から体感できた。(主催/一般社団法人Jump Festival)
同イベントは「ジャンプでみんなにワクワクを」をスローガンに、2021年より開かれ今回で4回目を迎えた。代表のリオ・東京オリンピック走り高跳び日本代表選手の衛藤昂さん(株式会社神戸デジタル・ラボ所属)は、かつてチェコへ遠征に行った際に出場した街中での高跳び大会に衝撃を受けた。大きな競技場で行われる大会にはない選手と観衆の近さや、走り高跳びが街に溶け込んでいる光景が目に焼き付いたという。歳月を経てジャンプ仲間とともに同法人を設立するに至った。
オープニングには須磨区出身でアジア選手権走り幅跳び代表選手の中野瞳さん(株式会社籠谷所属)があいさつに立った。「できるだけ近くで、選手の息遣いやジャンプの高さを感じていただきたいです」と呼びかけた。中野さんは2007年、県立長田高校在学時に当時の日本ユース記録6m44㎝を記録した。この記録は現在でも破られていない。
競技は兵庫県高校トップの部(女子)から開始し、5校から8人が出場した。同じ高さで3回挑戦権が与えられ、クリアしたら5㎝ずつ高さが上がっていき、1番高い高さを跳んだ選手が勝ちとなる。 跳ぶ前に選手が手拍子を求めると会場全体が一体となって手拍子をし、選手を後押ししていた。日本陸上競技連盟マスコットキャラクターのアスリオンも駆けつけ、コミカルな動きや手拍子で会場を盛り上げた。また、目の前で競技の実況解説が行われ、陸上になじみがない観客にも分かりやすく楽しめる工夫がされていた。
高校女子の部は1m65㎝を跳んだ西区在住・神戸山手女子高校の戸田向日葵さん(3年)が優勝。中学生から陸上を始めた戸田さんは今年のインターハイにも出場した。兄の戸田汐音さんも8年前、当時中学2年生で駅伝全国優勝を果たしているのだそう。大学では競技を離れることが決まっている戸田さんにとって、この日が最後のジャンプとなった。「陸上を通してたくさんの人に出会え、感謝を直接伝えられたことが良かった。将来はスポーツを支える側になりたい」と次の夢についても語った。
高校男子の部では、市立尼崎高校の中本飛羽さん(3年)が2m5㎝を跳び優勝。大学でも競技を続けるという中本さんは「まずはインカレに出場することを目標としています。将来は日本一を目指します」と笑顔で語った。
競技の合間には、初めて走り高跳びに触れる子どもたちや高校生に、トップアスリートが直接指導した。緊張の面持ちで高跳びのマットに跳びこんだ参加者はマットの感触を「フカフカだった」と話し、貴重な経験を楽しんでいた。
最後に行われた日本トップの部(男子)では衛藤昂選手、勝田将選手、柴田涼太郎選手が登場した。勝田選手は衛藤選手の実の弟で、現在、三重県で中学校の教員として勤めながら競技を続けている。ウォーミングアップではウサギのコスチューム姿で会場を沸かせていたが、バーの高さが上がっていくと本気モードに切り替わり、生徒たちから贈られたというメッセージがびっしりと書かれた白いハチマキを巻いて、渾身のジャンプを披露した。優勝は2m20㎝を跳んだ衛藤選手。衛藤選手はバーを跳び超える瞬間、まるで空中で一瞬止まっているような軽やかなジャンプで観衆を魅了した。勝田選手は「神戸の皆さんのおかげで、気持ちよく跳ばせてもらいました。会場が満員だったことが何よりです。来年も力を貸していただき、開催できればうれしいです」と満面の笑みをみせた。
戸田向日葵さん
高校生女子の部 表彰式
中本飛羽さん
高校生男子の部 表彰式
トップジャンパーの部