市民劇で学ぶ「防災」
10月14日(月)垂水区文化センター レバンテホール(垂水区日向)にて「裕次郎さんの防災~医療・介護の防災六条~」の劇と講座が開催され、約500人が参加した。
(共催/垂水区医療介護サポートセンター、NPO法人エナガの会)
垂水区で医療・介護・福祉など専門職が連携し地域包括ケアシステムをより良いものにと取り組んでいる「エナガの会」と医師会が連携し、医療や介護について分かりやすく伝える劇を初演したのは2012年のこと。今回はコロナ禍の活動休止から6年ぶりの開催となった。
約100人の出演者は医師をはじめ、医療・介護・福祉・垂水区行政の多岐にわたる関係者。劇を通じて多職種連携の醸成も図り、上演の約3か月前から練習を重ねてきた。
今回のテーマは「防災」。今年の始めに起こった石川県能登半島の地震、異常気象による各地の災害をふまえ、医療・介護・行政の視点から主人公の裕次郎さんと「防災六条」を追う内容の劇となった。
第一条「ハザードマップを確認しよう」 舞台に垂水区の若松区長がギャグ仕立てで登場し会場を沸かせた。住んでいる地域について水害・土砂災害は予測ができることから「ハザードマップを使って避難経路の確認を」と呼びかけた。
第二条「72時間耐えられる準備をしよう」 災害時72時間は生と死を分ける壁であることをグラフで説明。また支援物資の到着やインフラが整うまでの食糧、防災グッズは自身で準備しておくことが大切。
第三条「あんしんシートを書こう」 災害時、電気が使えない場合に備えて医療情報を紙で用意しておくと対応がスムーズになるという。
第四条「医療・介護の緊急バックを準備しよう」 緊急バックに入れるものはマイナンバーカード(被災者の状況確認に役立つ)、口腔ケア用品(災害関連死の一つ、誤嚥性肺炎の予防に)、お薬手帳、ケアマネージャーの名刺・ケアプラン(緊急時の連絡先に災害時の避難先が載っている)が挙げられた。ペットの避難について、慣れないキャリーやゲージの中で過ごすとストレスがかかるので、普段から入って過ごす練習をすると良い。
第五条「自助、共助、公助で安心の町を作ろう」 地域活動を通して災害時に助けの必要な人を確認したり、援助の避難訓練を実施している垂水区千代が丘の活動を紹介。また、裕次郎さんたち地域住民と行政・医療介護の専門職が参加する「地域ケア会議」でご近所の夫婦について話し合う様子がコント仕立てで演じられた。
第六条「地域の人とつながろう・避難訓練に参加しよう」 サンバの音楽が流れ「避難訓練に参加します」と踊りながら人がだんだんと集まり、裕次郎さんとご近所さんの車いすでの避難が始まる。これまでの防災準備のおかげで避難の準備がスムーズに済み、避難所に向かうだけ。
しかし、実際に行動してみるとたくさんの発見がある。「気づいたことは避難計画に反映する、それこそが大事なので、地域で話し合える防災訓練は機会があれば参加しよう」と会場へ呼びかけた。
最後に、裕次郎さんは未来へタイムスリップする。そこでは防災対策が発展していて、垂水区の医療・介護・自治体による地域活動、そして今回のイベントが成果を上げたものだと締めくくった。
劇は終始笑いが絶えない演出がされていた。京都から参加した学生は「防災をエンターテイメントで笑いながら学べた」と話し、同僚が出演者という垂水区から参加の親子は「改めて避難訓練の大切さを感じました」と述べた。