第16回神戸マイスターフェスティバル
10月12日(土)、神戸元町商店街の西の玄関である元町6丁目商店街(通称・モトロク)で「第16回神戸マイスターフェスティバル」が開催された。さまざまな分野の神戸マイスターたちが集結。匠の技を生で見られる実演や、展示・販売、体験コーナーもあり、多数の来場者が詰めかけた。(主催/神戸マイスター交流会、神戸市、(公財)神戸市産業振興財団)
マイスターとは、ドイツ語で、親方や名人を意味する言葉。神戸市は「神戸マイスター制度」として、優れたものづくりの技術・技能の継承を図ることを目的に、市内だけでなく全国的にも通用するハイレベルの技術・技能を持つ人を「神戸マイスター」に認定している。平成5年度より開始され、現在、61職種148人が神戸マイスター・神戸アグリマイスターとして認定されている。2023年度は4人の神戸マイスターが誕生した。神戸ならではの洋菓子やパン職人のほか、日本料理、中華料理、西洋料理、バーテンダーなどの「食べる、飲む」という業種以外に、機械組み立てなどの「造る」や「着る・飾る」、「住む・暮らす」、「便利・快適に過ごす」など多様な分野からマイスターが選ばれている。
当日の会場に設けられたステージでは、マイスターたちが技を実演。メートル・ド・テル(フランス料理の給仕長)の資格を持つ檜山和司さんがリンゴ、キウイフルーツ、グレープフルーツ、パイナップルを見事なナイフさばきでカットし始めると、ステージの前には多くの人が集まった。真剣な表情で見学していた北区から訪れた50代の女性は「お菓子作りが大好きで、このステージを楽しみに来た。カッティングの真似をしてみたいがきっと難しいと思う」と話した。
午後のステージではテレビ番組『料理の鉄人』出演でも知られる著名な日本料理人たちによる「兵庫五国の恵みを盛り込む日本料理」、一流パティシエによるお菓子作りなどが披露された。後援のにいがた県央マイスターズクラブによる、にいがた県央マイスターたちの製品展示とステンレス箸の研磨体験もあった。体験後に出来上がったステンレス箸は持ち帰ることもできた。
左官の中西敏明さんは、技能検定員を長年務め受賞歴もある。「建物は消耗品とみる最近の風潮があるが、左官の仕事は半永久的に耐えうる作品に仕上げるべき、という姿勢で仕事をしている」と話す。市内の中学校へゲストティーチャーとして訪問し、ものづくりの大切さを伝える活動も行っている。「女の子が楽しそうに左官の仕事体験をしていたのが印象的だった」と話した。
日本料理人の武田利史さんは、有馬の旅館で腕を振るい、現在は香川県の旅館で料理長を務めながら、日本料理の職業訓練の指導員として食文化の普及を図ってている。日本料理は四季を感じることができるのが魅力的と話した。
神戸の洋菓子やワインの販売のほか、りんごのカッティング体験、帽子の材料を使ったハロウィンオリジナルのナプキンホルダー製作やミシンを使って簡単に小物を作るブースもあり、小学1年生の女子児童は初めてのミシンに挑戦していた。
神戸マイスター交流会会長の瀧川雄臣さんは「さまざまな分野のマイスターが一同に会するのはとてもめずらしい。特に若い人たちに普段は見ることができない技術・技能にふれてもらい、興味を持ってもらえたらうれしい」と締めくくった。
フルーツカットの技を披露した檜山和司さん
ミシン体験