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体験!考古学講座「古代の染物をしよう」

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9月7日(土)に神戸市埋蔵文化財センター(西区糀台)で、体験!考古学講座「古代の染物をしよう」が開催された。
同センターでは、実際に見て、体験して、楽しく学ぶ体験型の考古学講座をさまざまなテーマで開催している。この日は午前と午後の2回開催され、どちらの回も満員となるほどの人気だった。

はじめに学芸員の内藤俊哉さんが染色について、染色の歴史、染色技法を解説。染色は、今から数千年前の縄文時代に《よごれ》が布に色を付けることから始まり、泥漬け、すり込みの方法で行われていたと考えられる。
国内最大規模の弥生時代の集落跡、吉野ヶ里遺跡(佐賀県)で発見された絹の中には、日本茜と貝紫で染色されたものが発見されている。飛鳥時代以降になると、大陸の染色技術が伝えられ、染色の技術は急激に発達したと考えられている。古代、染色に使われた材料「茜」は、山野に自生する多年草の野草でその根が赤く、黄みを帯びた夕焼け空のような朱色に染める。「橡(つるばみ)」はナラやシイ、クヌギのどんぐりのことで、鉄の媒染で銀鼠色になり、「黒橡」と呼ばれる高貴な喪服の色とされていた。「丁子」は香辛料のクローブ、「鬱金(うこん)」はカレーの色付けにも使われ、防虫の薬効もあり鮮やかな黄色になる。「蘇芳(すおう)」はマメ科の樹木で、芯材に含まれる色素によって茜よりも黒みがかった赤になる。

参加者たちは白い布やバッグを染色。好きな模様をつけるために、会場に用意された大・中・小のビー玉やさまざまな形の木片を輪ゴムで染める物に付ける。輪ゴムの縛り具合により、模様が変わり、オリジナルの作品が出来上がる。染物が好きでこのような講座によく参加するという女性は、「輪ゴムだけでも縛り具合によって模様が変わり、そこが面白い」と笑顔で話した。祖母が同センターのボランティアスタッフをしているという上霜さん親子は「昨年も参加したが思うように模様ができなかった。今回はリベンジで模様を付けるときにしっかりと輪ゴムを縛ることに気をつけたい」と意気込んでいた。
模様をつけるための準備が終わると、染色作業のために地下へ降り、用意された染色液に5分ほど漬けた。色を定着させるため媒染剤の液に漬け、水洗いすると完成。参加者は、出来上がったカバンや布の模様に満足した様子で写真に収めていた。

体験!考古学講座 次回開催
11月16日(土)10:00~15:00「茅葺職人さんと竪穴住居を建てよう」
共催:すまいるネット
募集人数/20組
参加費/1組300円
詳細は神戸市埋蔵文化財センターHPにて

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