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まちスポセミナー

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2019年2月27日号【須磨区・西区版】掲載

1月21日(月)、BRANCH神戸学園都市内(垂水区小束山手)まちづくりスポット神戸で「『人生の最期に大切な家族を困らせない、親を見送る自分が困らない』ための準備セミナー」が開催された。

講師は垂水区在住の司法書士、親の高齢対策コンサルタントの仲島拓郎さん。最初に自身の趣味である山登りに例えて「なんの装備もせずに山へ行くとケガをしたりもする。相続と認知症の問題も事前に備える大切さをお伝えしたいんです」とあいさつ。財産管理などの対策を①成年後見②任意後見③家族信託の3つを挙げて解説。財産管理で起こりすい問題として、認知症が銀行に分かると口座が凍結されたり、自宅が売却できなくなることだという。

①の成年後見は、認知症などで本人に判断能力がなくなった後に周囲が申し立てることで、家庭裁判所が認定した後見人が付く。後見人は不要な契約の解約や家の処分、預金の引出しなどを本人に代わって行うことが出来るが、慌てて成年後見人を付けてトラブルになることも。実は親族が後見人になれるのは3割ほどで、7割は見ず知らずの弁護士や司法書士といった第三者が認定されるという。孫の学費などの本人使用以外の預金引出しは認められず、原則として解任できない。

②の任意後見は判断能力がある段階で、本人が後見人及び管理する契約事項を決めて公証役場に提出。その後、判断能力が低下した時点で裁判所に申し立てることで、後見人を見張る任意後見監督人が付き、制度が開始される。①②はともに本人死亡により権利義務が終了するので、埋葬の手続きや遺品整理などの死後の事務は別の契約となる。

③の家族信託は死後事務も可能で、後見人や遺言書の役割もカバーできるので、相続・認知症後の対応にも有効と最近注目されているという。家族信託は、委託者(財産を預ける人)、受託者(財産を預かる人)、受益者(財産から利益を得る人)で成り立つ。アパート経営を例にすると、委託者と受益者を同じ人に出来るので、委託者の親が認知症になっても受託者の娘が不動産の処分が可能というような、管理と財産的部分を分けて動かせるのが特徴。オーダーメイドで死亡後の財産の流れを作ることも出来る。

垂水区から参加の40代の女性は、「親にも言い出しにくいけど大事な話。今日が最初の一歩で勉強になりました」と話した。いずれの制度もそれぞれに費用がかかるが、早めの対策が大事と話す仲島さん。「トラブルになる前にぜひ前もって準備して欲しいです」と締めくくった。

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