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全国の警察で初めて 兵庫県警「術科」に空手道を採用

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兵庫県警では昨年、全国の警察で初めて「術科」に空手道を採用。多くの警察官が稽古に励んでいる。

「術科」とは警察官の職務執行に必要な術技の総称で、警察官が日常的に行う代表的な訓練のこと。ほぼすべての都道府県警察では逮捕術に加え、柔道または剣道を選択するが、兵庫県警では昨年4月から全国に先駆けて空手道を術科として採用。現在は約850人が空手道を選択しており、そのうち初心者が約8割を占めるという。

空手道6段の腕前を持つ兵庫県警察本部教養課の溝口慎一警部補をはじめ、助教5人が県警本部や空手道選択者が多い県内警察署26カ所に毎月1~2回ほど指導に回る。溝口警部補は「空手道は相手との距離の確保や防御をしながら打撃を加えて制圧するなど実戦的で現場活動に役立つ」と話す。取材日は神戸西警察署(西区糀台)で溝口警部補と助教の警察本部教養課、石井司警部補が空手道を選択した13人の指導にあたった。

稽古は最初に柔軟や筋力トレーニングをしっかり行った後、基本稽古では一つひとつの動作に神経を使い、体の使い方を反復して練習。溝口警部補は根拠づけた分かりやすい説明をしながら動作の手本を見せていた。「号令を聞いてから動くことで反射神経を鍛えることができる」「脇や肘を絞めるクセを付けて自分を守ろう」とアドバイス。事件現場で犯人を取り押さえるのに空手道の突きや蹴りは適度な間合いから攻撃することもでき、それは自分の命を守ることにも繋がる。訓練を重ねることで自信となり、ひるむことなく相手と対峙することができると、防具をつけて攻防訓練に励んだ。道場は気合の入った大きな声が響き渡っていた。

これまで柔道を選択していて空手道初心者という鉄道警察隊の吉村直之警部補は「電車内という狭い空間で凶器を持った犯人に対し、自分の身を守りながら制圧するには、相手との距離が取れる空手道が有効で、現場を想定した攻防は実戦に使える」と話した。学生時代に空手道に打ち込んでいた神戸西警察署の後藤樹香巡査は「空手道は横の動きが加わるので四方八方から来る被疑者に対して間合いの幅を広げることができる」と経験者ならではの感想も聞かれた。溝口警部補は「空手道が警察官の仕事に役立つことや警察官になった後も学び続けられることを知ってもらい、経験者への採用に繋げたい」と語った。

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