親子で造る 銅鏡鋳造体験
7月28日(日)、(公財)神戸市民文化振興財団主催による夏休みの特別イベント「親子で造る銅鏡鋳造体験~かがみ~」が市立北須磨文化センター(須磨区中落合)で開催された。親子20組が参加し、弥生時代から続く金属加工法に挑戦した。
銅鏡とは古代中国で誕生し、日本では弥生時代から古墳時代にかけて多く製作され、祭祀などに用いられた。鋳造体験は先人の知恵や技術を学び、その難しさや面白さを知ってほしいと、神戸市埋蔵文化財センター(西区糀台)の協力を得て共同開催。今年で3年目となる人気のイベント。
銅鏡を模したアニメキャラクターを再現したいと参加した篠田昌晴さん(名谷小1)は、このイベントを知る前から銅鏡づくりがしたいと熱望していたそう。「大好きなキャラを制作できるのを楽しみにしていた」と目を輝かせていた。
学芸員の指導のもと、元型となる銅鏡の模型を手のひらサイズの木枠に砂で埋めて型を取るところからスタート。粘土質の砂を4~5層重ね、隙間なく詰めていく。固めた砂から元型を取り出し、刻印棒や動物のピックで好みの文様を刻むとオリジナルの砂型が完成する。「作業中に出た砂のクズは完成時にそのまま形として残ります。ていねいに払って」と注意を聞き、子どもたちは真剣な顔つきで慎重に手を動かしていた。できた砂型を木型で挟んで隙間を作り、スタッフが低温で溶ける合金を流し込む。冷えて固まった銅鏡を砂型から取り出し、ていねいに砂を払うとそれぞれが刻んだ個性的な模様が浮かび上がる。参加者の顔にも笑顔が広がった。砂を払った後は、やすりの粗さを変えながら磨きをかけ、つるつるの鏡面に磨き上げる。「やすりを真っ直ぐに動かすんだよ」というアドバイスに「鏡みたいにキレイに光ってきた!」と子どもたちは歓声をあげながら、およそ4時間に及ぶ作業を最後まで集中して取り組んだ。
ルーマニアから母と帰省したという14歳と10歳のオランダ人兄弟は、鈴蘭台に住む祖母の勧めで参加。「9年ぶりの来日で日本の文化を体験できてうれしい」と充実した表情を見せた。
北須磨文化センターは、図書館・体育館・柔剣道場・プールを備え、貸館のほか、知識や教養を高めるための文化講座、健康や体力の維持・増進を図るスポーツ講座などを実施する複合施設。「シニアはもちろん特に若い世代の利用促進を目指し、スタッフでアイデアを出し合いイベントの企画をしています」と三浦敬三館長。
イベントの開催情報は公式インスタグラムにて。