体験型海洋イベント「Ocean’s17 event」
5月26日(日)、デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)(中央区小野浜町)で体験型海洋イベント「Ocean’s17 event」が開催され、神戸市内の高校生18人が参加した。 (主催/神戸市、協力/川崎重工業株式会社、株式会社アクアメント)
神戸市は川崎重工業株式会社の従業員有志による次世代人材育成を目指した社会貢献活動「みらいほん」と連携し、高校生を対象に海の仕事のおもしろさを知り興味を持つきっかけになればと、海洋人材育成プログラム「オーシャンズセブンティーンイベント」を令和3年から開催している。第6弾となる今回は、都市型水族館「AQUARIUM×ART átoa(アトア)」の職員を迎え、「海のゆりかご(藻場)」をテーマに行われた。
5班に分かれた高校生たちは、川崎重工業の山本佳太さんより同社の仕事内容や「みらいほん」について話を聞いた後、スマートフォンで誕生魚診断を行い、グループ内で交流を図った。その後、アトアの萩龍太郎さんによるブルーカーボンが果たす役割について耳を傾けた。ブルーカーボンとは海草藻場やマングローブなどに取り込まれた炭素のこと。陸上植物によるグリーンカーボンよりも貯留スピードが速く、地球温暖化の原因となる大気中の二酸化炭素削減の役割が大きいと伝えた。アトアではブルーカーボンの貯留地として、成長の速いアマモに注目。自分たちにもできる取り組みとして、「須磨里海の会」によるアマモの植栽活動を紹介し、参加を呼びかけた。
続いて、川崎重工業の社員によるワークショップ「海のゆりかごに光を!ろ過で水をきれいにしよう」が行われた。アマモなどの海草が光合成を行うためには海の汚れを取り除き、きれいにする必要があることから、班別に腐葉土が入った濁った水をろ過する装置を制作。「コスト・量・透明度」の3点を指標に競い合った。高校生たちはガーゼやキッチンペーパーなど7種類の材料の中からコストを考えて3種類まで選び、限られた時間内で試行錯誤しながら装置を完成させた。各班の代表は「ろ過量」や「コストと時間の短縮」など重視した点をアピール。川崎重工業の徳永寿慧さんから順位の発表と総評があり「実際のろ過装置は異物の除去はもちろんのこと、コスト、ろ過スピードも重要」と伝えた。アトアの萩さんは「透き通った海は栄養価が少なく、少し緑色の海が豊かな海といわれる。生きものにとってバランスのとれた海を目指したい」とまとめた。豊かな海を実現するための環境ワークショップも行われ、各班それぞれに決めたコンセプトのもと「エコマーク」を考案しプレゼンした。
市立科学技術高校2年の瀧本圭翼さんはろ過装置のワークショップで「安い、速い、簡単!」を重視したろ過装置を製作。「いろいろな課題が出たけど、みんなで意見を出し合い、チームワークを生かした成果。ブルーカーボンについては初めて聞く話が多く、固定概念を覆してくれた。楽しい時間だった」と満足げに話した。神戸市企画調整局の山田智也さんは「学生たちが主体的にイキイキ取り組んでいる姿が印象的だった。海洋関連企業の皆さんと連携しながら、海洋産業への人材輩出や普及・啓発活動を継続していきたい」と語った。
※「オーシャンズ セブンティーン」は「海洋」「SDGs(持続可能な開発目標)の17個の目標」「高校生の将来の進路決定時期である17歳」を掛け合わせて名づけられた。