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神戸龍谷高等学校空手道部 悲願の日本一

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 神戸龍谷高等学校(中央区中島通)空手道部が3月24日(日)~26日(火)に広島県立総合体育館で開催された「全国高等学校空手道選抜大会」女子団体組手3人制で悲願の日本一を成し遂げた。
 同部は県、近畿大会を全勝で勝ち上がり全国大会への切符をつかんだ。過去最高位は11年前の同大会団体組手3位。創部21年目で初の日本一を目指し稽古に励んでいた。全国大会を目前に控える中、2月に開催された大会でエースの島田彩夢さん(3年)が相手選手から受けた攻撃で重傷を負い緊急入院、集中治療室で10日間過ごした。診断は腎臓損傷。島田さんは「(全国)大会出場は諦めた」と当時の心境を打ち明けた。創部当初から同部を率いる濱田繁幸監督は落ち込む部員たちに「各自が今できることを懸命にやろう」と鼓舞し続けた。そんな折、医師から治療法変更の提案があり、それまで不安で弱音を吐いていた島田さんは自らを奮い立たせ3週間にも及ぶ入院を経て、3月上旬には登校できるまでに回復。少しずつ稽古を始め、大会1週間前に医師から試合出場の許可が下りた。入院生活の間、濱田監督から毎日届くメールに励まされ、部員たちとのビデオ通話で元気をもらい、毎日面会に来てくれる家族に「感謝しかなかった」と話す。「学校に通えること、空手道ができること、すべてが当たり前じゃないと実感した。みんなに支えてもらったのでプレーで返せたら」と心に強く誓った。
 大会では3試合を全勝で勝ち進み、真颯館高校(福岡県)との決勝の舞台へ。同部は毎試合、対戦相手に合わせ選手を組み替えながら戦ってきた。万全ではない島田さんをどの試合で出場させるかが勝負の分かれ目と読み、これまでは濱田監督とコーチで対戦順を決めていたが今大会は前日の抽選会で対戦校が決まると選手も含め全員で戦術を練った。先に2勝すれば勝利の中、決勝は先鋒の島田さんが大きな1勝をもたらした。中堅の古門万奈さん(2年)の相手はエースで奇しくも今大会個人組手の準決勝で敗れた選手だった。「正直、嫌だなと思った」と明かすが、緊張しやすい性格から人一倍メンタル強化にも取り組んできた古門さんは「やるしかない。自分が決める!」と気持ちを切り替え「みんながいると思うと不思議と楽になった」と落ち着いた試合運びで見事雪辱を果たし、ついに創部初の頂点に立った。
 主将の福井凛さん(3年)は「すぐには実感が湧かなかったが日本一を目指してきたのでうれしかった」と笑顔がこぼれた。大会前、当時の部員5人のうち2人がケガで3人での稽古が続き、また主将としてのプレッシャーが重くのしかかり不安しかなかったと吐露。そんな状況だからこそ「今は自分のプレーでチームを引っ張ろう」と攻め抜くスタイルや技で本気を見せた。また大きな声を出すことで乗っていけるきっかけになればと試合、練習に関わらず声出しにも力を入れた。まさにチーム力でつかみ取った日本一だった。濱田監督は「ここまでの道のりが壮絶すぎて我を忘れて喜びました。選手全員が自分が頑張らないといけないと使命感に燃え、全体の底上げに繋がった」と話す。
 次なる目標は昨年に続く県総体を制し、インターハイでも頂点に立ち「春夏連覇」と全員が口を揃える。持ち前の団結力でさらなる高みを目指す。

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