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推し本推し活ライブラリー

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3月29日(金)~31日(日)の3日間、本を通して人とつながるイベント、「推し本推し活ライブラリー」がプレンティ3階のイベントスペース、フーレ・デ・プレンティ(西区糀台)で開催され、多くの来場者が本との出会いと交流を楽しんだ。(主催/トナルバ)
 同イベントは自分がお勧めする本=「推し本」にコメントなどを添えて展示紹介し、会場を訪れた人と本を通して交流する「人とつながるライブラリー」を体験できるイベント。費用は1冊100円で何冊でも展示に参加でき、「推し本」への熱い想いをPOPに書いて設置している人も多かった。トナルバ代表の羽田尚子さんは、西神中央在住。20年間子育てや仕事などに忙しく暮らすなかで、地域住民の顔が見えにくいニュータウンを魅力的な街だと思えなかったと話す。そんななか、2年前に迎え入れた保護犬の散歩中に交わすご近所さんとの会話から、趣味を楽しむ意外な一面を知ったり、困りごとには誰かが答えてくれるような関係性が生まれ、地域に住む人たちの魅力的な姿が見えてきたという。羽田さんは「以前にテレビで見た、市民が運営する『みんなの図書館』を思い出したんです」と話す。本が好きなことや大学生協で書籍部門を長く担当していた経験を活かして、西神中央で「私設図書館」を作り、世代を問わず交流できる場を作りたいと思うようになったと話した。
 全国でも数を増やす私設図書館は、本を通して地域住民が交流を持てる場。羽田さんはその形態のひとつ、"一箱本棚オーナー制度〟で運営する「みんなの図書館」を西神中央に常設で作ることが今の目標。今回はそのワンステップだという。「一箱本棚オーナー制度」とは、縦横30~40センチほどの本棚の一箱を月額2000円程度で借り、自分の蔵書を置いて貸し出すというもの。自分がオーナーの小さな図書館を介して交流を楽しめる。想いに共感した村上千賀子さん、紀氏美津子さんとトナルバを立ち上げた。二人も西神中央在住で、本を通して知り合った。イベント当日、会場には本へのメッセージを入れるポストを設置。本の「推し主」に手渡されて、会わずとも交流が生まれる。「前から気になっていた本!読むと背中を押された」「絵が柔らかくてぬくもりを感じた」などの感想が入っていた。
 大学生協での繋がりから、仲間と制作した本で参加した甲南大学3年生の肥前諒さん(西区樫野台)は、「僕の置いた本を、小学生が面白かったと感想を書いてくれてうれしかった。想定していない読者と出会えるのが魅力ですね」と笑顔を見せた。
 この日は絵本セラピストの田中八潮(やしお)さんが、一緒に声を出せる絵本など7冊を読み、子どもたちは夢中で声を出して楽しんでいた。
学園都市から訪れた野島陽菜さん(小4)と菜月ちゃん(3歳)は、しおり作りを体験。母親の友香さんは「職場復帰してから図書館に通いづらい環境になったので、近所にこういう場があればうれしいですね」と話した。村上さんの学生時代の友人で、夢を叶えて童話作家になった中住千春さん(宍粟市)は自身の作品の児童書で参加し、今も応援しあう二人が会場で涙を見せる場面もあった。
 羽田さんは、「本を通してあらゆる世代が繋がり、多様な『個』が主役となれる場を作りたい。自分を大切にするように他者も大切に、他者を大切にするように自分も大切に。日常に溶け込むそんな公共空間にふさわしい場所を探すのが目下の課題です。空き家など場所があるよ、という方はぜひご連絡ください」と拠点づくりの協力を呼びかけた。


大人も夢中、絵本の読み聞かせ


(左から)トナルバの村上さん、羽田さん、紀氏さん

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