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須磨区

第14回 市民向けがん講演会

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12月17日(日)、須磨パティオ「健康館」3F パティオホール(須磨区中落合)で「第14回 市民向けがん講演会」が行われ125人が参加した。同講演会は県指定のがん診療連携拠点病院である国立病院機構 神戸医療センター(須磨区西落合)が、がんの知識を一般市民に広める目的で行っている。

今回のテーマは「自分らしいがんとの向き合い方」。コロナ禍で4年ぶりの開催となり、当日は多くの参加者が来場した。2回目の参加だという西宮市在住の女性、須磨区妙法寺在住の女性は「家族の紹介で、情報を知っておくのもいいなと前向きな気持ちで参加しています。残された立場になったときの心構えも出来る。もしも倒れたときの希望も話し合うようになった」と、講演会に参加したことで家族の会話も変わったと話す。

まずは、同センター味木徹夫院長による「胆のうがんについて」。死因の上位であり治療が難しいとされる肝臓がん、胆のうがん、膵臓がんについて説明。がん治療を経験したことのある男性から、再発を恐れていること、再発の可能性があるかなどの質問があがった。

同センター・理学療法士の吉岡陽祐さんによる「椅子だけあればできる健康体操」で体を動かした後、続いてかえでホームケアクリニックの顧問・関本雅子さんの特別講演「在宅緩和ケアと人生会議」が行われた。関本さんは在宅緩和ケアを主とするクリニックで医師として尽力し、これまで4000人以上の患者を看取っている。さらに緩和ケア医だった長男を肺がんで亡くした経験に基づき、闘病の記録と緩和ケアの現場について話した。「人生会議」とは治療を受ける本人を主体に、現在の健康状態や今後の生き方、さらには受けたい医療・ケアについて考え、人生の最期をどう選択するか家族や友人と何度も話し合うことを指す。医者から告げられる治療方針や診断結果の告知とは異なることを強調した。「自分がトイレに行けなくなったとき、親族が介護するのか、施設を利用するのか、在宅で有料のヘルプサービスを利用するかの選択肢がある。息子の希望はプロにお願いしたい。がんが脳に転移し穏やかに過ごせない状態になったら入院したいというものでした」と振り返る。がん患者は治療の進歩や薬の開発が進んだことでギリギリまで自力で生活が出来るというが、手助けが必要となるタイミングがいつ訪れるかはわからない。緩和ケアスタートの見極めとなるポイントは、自分でトイレに行けなくなったときだと関本さんは話した。講演ではほかにも、薬局から薬を届けてもらえるサービスや、在宅での訪問ケアだと週3回入浴サービスが受けられるなど施設との違いも紹介された。

同センターで緩和ケア内科を担当する宮崎博之医師は「多くの家族が抱える不安は、先の見通しが立たないこと。神戸医療センターではがん相談支援センターを設け、医学的な情報はもちろん、経済的な悩みにも対応できるようさまざまな資料を提供している」と話す。治療を行っていなくても、ソーシャルワーカーや専門の看護師へ相談が可能とのこと。

問い合わせ先/神戸医療センターがん相談支援センター TEL(791)0111(内線460)

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