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垂水区

垂水区在住 マジシャンKAZUNAさん

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「ひとりでも多くの人に生きる希望と笑顔を届けたい」。プロ歴15年のマジシャンKAZUNAさん(垂水区)は、難病を患いながらも精力的に全国をまわり活動している。
KAZUNAさんは「よーいどん」「明石家電視台」などのTV番組にも出演。西区春日台の「創作フレンチレストラン ユニック」ではテーブルマジックでおもてなしを行っている。11月25日(土)には名谷ワークラボAOZORA(須磨区菅の台)でマジックショーを開催し観客を魅了。マジック教室の講師としても活躍中。

まだわずか2、3歳のときに血管腫・血管奇形の難病と診断されたKAZUNAさん。検査入院を繰り返していた4歳の頃に病院でマジックの本を読み、覚えたマジックを看護師に披露すると褒めてもらえるのがうれしくて、次々と新しいマジックを覚えていったという。辛い入院や通院はマジックがうまくなるための時間だと自分に言い聞かせ、本を読んで独学でマスターしていった。小学校低学年のときに医師から「今の医学では君の病気は治せない」と宣告されて、将来に絶望。未来のある友人たちが羨ましく、親にも反抗し、自暴自棄の日々を過ごした。

小6のある夜、運命的な出逢いが訪れる。テレビの中でスポットライトを浴び「皆さん、ハンドパワーです」と現れたのが当時大人気だったマジシャン・Mr・マリック。スプーンを自在に曲げる彼の姿を見て「この人は魔法使いだ!」と本気で思ったと話す。「魔法使いになれば病気が治せるかも!?」と信じ、スプーン曲げに没頭。魔法使いになりたい、極めたいとますますマジックに打ち込んだ。

中学生になった頃、親との折り合いがうまくいかなくなり、祖母と一緒に暮らし始める。医師から自分の病気は遺伝すると聞かされ、さらに苦悩は増した。病気が進行し症状のつらさに、何度も死のうと思ったと話す。辛かったときにそばで支えてくれたのが祖母だった。

ある日、祖母が階段から落ちて腰を骨折、寝たきりになってしまった。大好きな祖母を懸命に介護していた夜、今も心の支えになっている「ラッキーコイン」の話をしてくれた。KAZUNAさんの祖母は「この世界にはラッキーコインという目に見えないコインがある。誰かのために何かを行い、その結果ありがとうの言葉と笑顔をもらったらコインが1枚手に入る」と話した。例えば電車に乗っていて具合が悪くなったとき、座席を譲ってもらえなかったら親切な人がいなかったと思うのではなく、自分がラッキーコインを持っていなかったから、コインで座席を購入出来なかったのだと思いなさい。どんなに病気でつらくても殻に閉じこもらず人と接して誰かのために何が出来るか考えること。マジシャンになって全国の人に喜びを届けラッキーコインを貯めたら、奇跡が起きて夢が叶うと伝えた。KAZUNAさんは祖母の言葉を信じ、これまでの自分中心の考えを捨て、人の役に立てる人生を目指してプロマジシャンになった。

ファンから紹介された医師に通院、3年後「今日から病名が変わります。同じく難病ですが、遺伝する確率は低くなります」と知らされる。「もしあの夜、おばあちゃんからラッキーコインの話を聞かなかったら、今でも前の病名のまま生きている」と語るKAZUNAさん。病気のせいで失ったのは「ともだち、親、異性」の3つ。祖母からラッキーコインの話を聞いて他の人のために生きることで、友人や親との関係も良くなった。諦めていた結婚、さらにかわいい子どもを授かることができた。

自身の経験とラッキーコインの話をストーリーマジックで伝え、ひとりでも多くの人を励まし、夢や希望、笑顔を届けることが自分の使命と目を輝かせる。「また会いたい」と思ってもらえる心に残るマジックを心掛け、病気と闘いながらも明るく感謝して生きるKAZUNAさん。自分自身を題材にした絵本を作り、子どもたちにも夢や希望を届けたいと話す。〝魔法使い〟KAZUNAさんのますますの活躍に期待したい。


AOZORAでのストーリーマジックに感動し涙する観客もあった


予想マジックで観客の願いを的中!

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