滝川第二高等学校（西区春日台）３年、坂井陽翔（はると）さんが10月26日（木）に行われたプロ野球ドラフト会議で東北楽天ゴールデンイーグルスから２位指名を受けた。「選んでもらえて感謝してます」と満面の笑みを浮かべ「思っていたより早く呼ばれてビックリした」と率直な思いを語った。取材日の数日前に入団交渉を終え「正式に決まってプロとしての自覚が芽生えてきた」と力が入る。

坂井さんが野球を始めたのは加古川市立氷丘南小学校２年の時。それまで野球に興味はなかったが、幼なじみの同級生に誘われ地元の少年野球チームに入った。「やるなら投手がしたいと思ったが、ストライクが入らず外野手でした」と当時のことを笑いながら振り返る。加古川市立氷丘中学校では野球以外の部活を検討していたが、再び幼なじみに誘われて硬式野球の「播磨ボーイズ」に入団。外野手兼投手だったが投手としては３～４番手だった。チームには絶対的エースと言われる選手がいたので公式戦では登板機会に恵まれなかったが投手への思い入れは強く、外野からマウンドに立つチームメートをうらやましく思っていたと懐かしむ。「試合中、投手交代の時は腕をグルグル回していつでも投げられるというアピールをしていました」と可愛らしいエピソードも。

滝川第二高校に進学すると本格的に投手へ転向。１年夏からベンチ入りし、同秋にはエースへと成長した。１年時から理想とする投球フォームを長身投手の大谷翔平選手らを参考に自ら研究し、自身の体をどのように使えばよいのか追求し続けた。「自分で考えないと修正方法が分からない。好きなことだから頑張れた」と地道な努力を重ねた。その成果の一つが入学時は最速１２９キロだった球速が１４９キロまでスピードアップ。体重も入学時から15㎏以上増量し現在は身長１８６㎝、体重88㎏の恵まれた体格を持つ。長身から投げ下ろす伸びのあるストレートが武器で、勝負球となる落差が大きいフォークや鋭く変化するスライダーなど変化球も多彩。また１年から４番を任されるほど長打力も抜群。同校は今春の兵庫県大会で準優勝、夏はベスト４で甲子園出場は叶わなかったが投打ともにチームをけん引した。

坂井さんが野球を始めたきっかけとなった幼なじみがチームメートで前主将の田村武琉さん（３年）。２人は小学校時代から約10年にわたりバッテリーを組んできた。田村さんに誘われていなかったら野球をしていなかったと話す坂井さんは「プロで活躍して恩返しをしたい」と誓う。同校野球部の服部大輔監督は「純粋に野球が好きで誰からも好かれる好青年。いずれは球界ナンバーワン投手と言われるようなスケールの大きな選手になって欲しい」とエールを送る。

現在はプロ入り後に向けてケガをしない体づくりを目指しトレーニングに励んでいる。夏の部活引退後から体重も増やし、球速は計測していないので不明だが「今までより速くなったと思う」と手応えを口にする。対戦したい選手はソフトバンクホークスの柳田悠岐選手。「強打者と言われる選手にストレートが通用するのか確かめたい。自信はあります」と胸を張る。坂井さんは「挫折しても諦めずに努力を重ね挑戦したので夢が叶った。野球が好きだから頑張ることができた」と力強く話し、自身が小学生の時から大谷翔平選手に憧れたように「野球少年に憧れられる存在になりたい」と目を輝かせる。プロでは「ケガをしない強い体を作り、１日でも早く一軍に上がり結果を残したい」と意気込む。さらなる可能性を秘めた坂井さんの今後の活躍に期待が高まる。