親子で学ぶ心肺蘇生法と応急処置講座
8月5日(土)地域医療ホール(西区糀台)で、「親子で学ぶ心肺蘇生法と応急処置講座」が小学4年~6年生の児童と保護者を対象に開かれ、計18組の親子が参加した。(主催/市立西神戸医療センター)
同イベントは、夏休みに年1回行われている体験学習で、今回が4回目の開催となる。講師を務めるのは、市立西神戸医療センター麻酔科の堀川由夫医師。堀川医師は日本救急医学会が行う心肺蘇生講習を手がけ、年間7万件にのぼる心停止状態に対応できるよう活動を行っている。
「心臓のドックンの音を聴いてみよう。聴診器を当てる位置を変えると音が変わるのも確認して」と動画で正常な音、異常音の違いを学びながら、親子で本物の聴診器を胸や肺に当てる実習からスタートした。資格を所持する医療従事者がサポートに入る。山下莉佐さん(福田小5)は母の歩美さんと初めて参加。「救急の現場をイメージしながら体験できよかった。AEDにも電池の寿命があると聞きびっくり」。以前から医療にかかわる体験型イベントに興味はあったが人気が高くすぐ満員になるので、やっと参加できてうれしいと話した。
動画で学んだ後、簡易グッズを用いた心肺蘇生法・AED(自動体外式除細動器)の体験実習が行われた。心肺蘇生法は「時間との勝負」で、時間の経過とともに蘇生率は急激に下がる。医療従事者に任せっきりにする意識を変えることで、助かる命が2倍3倍と飛躍的に増えることになる。また、1分間に100回以上の胸部圧迫を行う必要があるが、正確に行えるのは2分が限界なので複数人で交代しながら行う方がいいとアドバイスがあった。「学校現場では部活動中の心停止が多く、子どもたちが学ぶことで救える命があることを知って欲しい」と、堀川医師は訴える。
何かあった時の責任追及を恐れるあまり、学校内で救急処置の実施がされるケースは非常に少ないのが現実。公共施設に設置されているAEDは2分ごとに心電図を見て、今何をすべきか音声ガイドが流れてくるので指示に従えばOK。例え電気ショックが必要なかったとしても使用した後から問題になることはない。勇気がいるけれど、わからなくてもやってみることの大切さをサポートスタッフは繰り返し伝えていた。
実際に心停止になり蘇生した経験者の声に、子どもたちは真剣な表情で聞き入っていた。体験後には「学校だとどこにある?」「うちのマンションにもあるよ」と活発な意見交換がなされた。近年は若い女性のAED使用率が低いのが問題だと堀川医師は語る。路上で衣服を脱がせる行為が、のちに問題視されることを恐れて躊躇するケースが頻発しているという。胸部圧迫は着衣の上からでも可能。AEDは衣服の隙間から指定位置に近い場所に装着すればよいとの指導があり、若い命こそ救える指導を広めていきたいと話した。