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西区

落語少年 矢島琥太郎さん

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市立西神中学校(西区竹の台)3年の矢島琥太郎さんが、5月7日(日)西区文化センター内なでしこホール(西区糀台)にて師匠である落語家の桂九雀さんと「九雀亭~琥太郎と共に」と題した二人会で、中学生活最後の高座に上がり落語を披露した。

琥太郎さんと落語との出合いは小学4年生の時。落語好きな知人の影響で落語の本を読んで興味を持ち始めた頃、兵庫区新開地に寄席「神戸新開地・喜楽館」が2018年にオープン。その年に初めて落語を観に行った。「漫才やコントとは違う面白さがあった。生で観て感動した」と当時を振り返る琥太郎さん。この日の出演者の一人が桂九雀さんで、終了後には気軽に写真撮影にも応じてくれ「面白かった」と緊張しながらも九雀さんに感想を伝えたという。

同年秋、地域のまつりで西区出身の桂あおばさんの落語体験イベントが開かれ、参加した琥太郎さん。その時の写真を母親の華子さんがSNSで九雀さんに送ったところ「ほかの落語家ではなく私が教えたい」と熱心な勧誘があったという。上方落語界で活躍する九雀さんからの思わぬ申し出に琥太郎さんは驚きながらも習いたいと志願。しかし教室が遠方だったため琥太郎さんの自宅に赴いて稽古を授けようと九雀さんから提案があり、それから毎月稽古を付けてもらった。「基本から学び、人物の表現方法や扇子など小道具を用いた細かな動きなどすべて教わった」と話す。また登場人物の演じ分けや感情変化が難しく、演目の台本には「喜び」「悲しみ」「驚き」「いらつき」の感情を色分けして記し、理解を深めた。 その後も稽古を重ね「神戸新開地・喜楽館」で開催された落語の発表会に小学生では初となる5年生で高座に上がった。

それから発表会には毎年出演していたが今年は琥太郎さんの学校行事などで予定が合わず諦めていたところ、地元の西神中央での開催を九雀さんが快諾。料金は投げ銭(自由料金制)とし、九雀さんが二席、琥太郎さんは死神と人間が人生や人の寿命を扱う古典落語「死神」を披露。お囃子(おはやし)の演奏が彩を添えた。地元での開催だったため当日は友人・知人ら大勢が詰めかけ受付や案内を担当、チラシは母親の華子さんが制作した。師匠や友人らが見守る中、受験勉強のため中学生活最後となる落語納めとなった。「緊張もあったけどすごく楽しかった。友だちが面白いと言ってくれてうれしかった」と笑顔がこぼれた。華子さんは「人見知りで引っ込み思案だったのに1人で舞台に立ち堂々としている姿を見て成長を感じました。皆さんの支えがあって成り立っていることを忘れずに今後も頑張って欲しい」とエールを送る。
中学校では陸上部に所属。種目は短距離で現在は最後の夏に全力で挑んでいる。また、琥太郎さんは生徒会長も務めている。「活動内容に興味があって学校に携わりたい」と立候補し、全生徒の前でのスピーチでは落語で鍛えた感情を込めた抑揚を存分に生かして自身の熱い想いを伝え見事当選。小学1年生から始めたピアノが趣味でクラシックの中でも特にショパンがお気に入り。「忙しい中、率先して家事を手伝ってくれます」と親孝行の一面も。

来春、高校入学後には落語を再開予定。落語の魅力は「1人で多くの人物を感情豊かに演じ分け笑わせるところ。長年に渡り継承されてきた文化」と話す。自身が落語に携わったことで自信が芽生え、多くの人と関わり新しいことにもチャレンジできるようになったと感謝を口にする。今後は得意な英語を活かし「英語落語に挑戦したい。日本の文化である落語を発信することは多様性を実感できる」とさらなる目標を掲げた。


なでしこホール 師匠の桂九雀さんと矢島琥太郎さん

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