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須磨区

笑顔と感謝のスマスイラストデー

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市立須磨海浜水族園が5月31日(水)、閉園の日を迎えた。最終営業日となったこの日は、閉園セレモニー「笑顔と感謝のスマスイラストデー」が開催され、名残惜しむ多くの人たちが訪れた。

1957年に市立須磨水族館として開業。1987年の建て替えで須磨海浜水族園に名称が変更され「スマスイ」の愛称で長年に渡って親しまれてきた。当時、東洋一とされた水量約1200トンの「波の大水槽」は見応えがありイルカショーなど人気を集めた。開園から35年以上が経過し施設の老朽化に伴い、須磨海浜公園一帯で再整備事業が行われるため閉園となった。2024年6月にはリゾートホテルやカフェなどを併設した新しい水族館「神戸須磨シーワールド」がオープン予定。西日本唯一となるシャチの展示施設が設けられる。

朝9時の開園前から100人を超える長い行列ができ、来園者には入り口で最終日限定版のオリジナルトレーディングカードがプレゼントされた。閉園セレモニーは本館に入ってすぐの「波の大水槽」の前で行われ、最後を見届けようと集まった多くの人で埋め尽くされた。

第1部では同園より一番近くに位置する市立若宮小学校(須磨区若宮町)5・6年生約90人が同校伝統の「若宮ソーラン節」を披露。大きな掛け声とともに力強い踊りで盛り上げた。また「私とスマスイの思い出」と題した作文の朗読があり代表児童が「家族と一緒に何回も来て楽しかった。今までありがとう」と気持ちを伝えた。市立鷹取中学校(須磨区青葉町)は阪神・淡路大震災後に避難所となり教室不足を補うため園内の施設を分校として授業を再開した。同校の吹奏楽部員約50人が4曲を披露し、同水族園のテーマ曲が演奏されると「ここは須磨!(スマ!)海浜水族園♪」と来園者たちは大合唱。最後にいきものがかりの「ありがとう」を感謝を込めて演奏した。

第2部では職員のトークショーや水族園を支えてきたスタッフの紹介があった。勤続35年を迎えたベテランスタッフ平川雄治さんは「阪神・淡路大震災では停電や断水など大きな被害を受け、飼育する生き物の半数以上を失った。復旧に向け職員が一丸となり、3カ月後に営業が再開できた時の喜びは忘れられない。スマスイは人生そのもの」と感慨深げに話した。総支配人の中垣内浩さんは「65年の歴史の中、皆さんの人生の思い出の1ページとして刻まれたのではないでしょうか。須磨海浜公園は新たな時代を迎えますが地域に根差した水族館というのは変わりません。来年6月にまた皆さんとお会いできることを楽しみにしています」と呼び掛けた。兵庫大学附属須磨ノ浦高等学校(須磨区行幸町)のダンス部・吹奏楽部・カラーガード部によるダンスと演奏でフィナーレを飾った。

長田区の前田晴香さんは娘の紬希さん(5歳)と母親の赤井二三代さん(兵庫区)の3世代で来園。「何度も訪れたスマスイの最後を見届けに来ました。プロジェクションマッピングのイルカショーが印象に残ってます」とスマスイの思い出を話した。

閉園後、職員約50人が正面入り口前に並び「長い間ありがとうございました」と深々と頭を下げると来園者からは大きな拍手とともに「ありがとう」と声が何度も上がっていた。世代を超えて多くの人から愛され思い出の詰まったスマスイが長い歴史に幕を下ろした。


鷹取中学校吹奏楽部


須磨ノ浦高校ダンス部・吹奏楽部

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