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前衛書家 和田 彩さん

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垂水区在住の前衛書家、和田彩さんが、昨年11月にフランスで開催された自身の展覧会の報告展を、2月3日(金)~5日(日)まで兵庫県民会館(中央区)で開催。久元市長も来館し盛況のうちに幕を閉じた。(主催/六彩舎)
フランスでの展覧会は兵庫県パリ事務所で4日間、アヴェロンにある「スーラージュ美術館」で2日間開催され、美術館では前衛書作品や古典臨書作品など約20点を展示、400人以上が来場した。
現地では春夏秋冬の文字を、それぞれ篆書(てんしょ)・隷書(れいしょ)・楷書(かいしょ)・行書(ぎょうしょ)の、違う書体で書き上げるライブパフォーマンスを行った。「本来なら書体ごとに筆を変えるところ、ライブ感を大事にし、気持ちを乗せて同じ筆で一気に書きました」と和田さん。筆を運ぶ息づかいが聞こえるほどの静けさの中、最後の「冬」を書き上げると、200人のギャラリーからは歓声が上がった。パフォーマンス後には「これが一番大きな筆ですか?」という質問や「書体の違いを感じられて私も興奮した」と想いを伝えにくる人もいたという。


パフォーマンスの様子

和田さんは画を描くのが好きで、7歳から近所の教室で画と書道を習い始めた。書道教室の先生が前衛書の作品が多い「飛雲会」の所属で、普段から目にする書の作品も絵画的要素が多く含まれていたことから「筆で書くアート」と捉え、画と文字に隔たりを感じなかったと話す。
筆の使い方次第でさまざまな線が描け、立体感まで表現できる書の芸術性に感動を覚え、将来はアーティストになると決めていた。「私は感情が画になって見えます。例えば『音を奏でる石たち』という作品は、西芳寺(苔寺)で見た飛び石が面白く、音が鳴って踊っているように感じたものを表現しました。心に訴えかけてくる、頭に降ってくる心に響いたものを描いています」と独自の感性を語る。
「書の線」で描かれた和田さんの作品は、遠くから見ると情景として浮かび上がり、また近づくと微細な表現が見てとれ、それが作品に奥行きや陰を生みだしている。
西区井吹台の肥塚美奈子さんは「自分が作品から感じたイメージと、和田さんの書かれた解説文を読んで発見や違いを、離れたり近づいたりしながら楽しんで鑑賞しました」と話した。


サン・ローラン学園にて

兵庫県パリ事務所では中学生に、美術館では来館者に書道ワークショップも開催し、地元紙に盛況だった様子が掲載された。訪問したサン・ローラン学園では書道の授業と、リクエストで学園の理念を大きな紙に日本語で、書くライブパフォーマンスをするなど生徒たちと交流。フランス滞在期間中は行く先々で歓迎を受け、アーティストへのリスペクトと、幼い子どもであっても、生きる上において芸術文化が深く根差している国民性を感じたと語る。「もっと作品を発表してほしいとのオファーもあり、またすぐに行きたい気持ちです。交流があった学校とは、来日したら神戸で一緒にパフォーマンスをする約束もしたので、今から楽しみなんです」と、今後の活動を意欲的に語った。

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