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子育て中のおとなの、まち・ひととの 関わりを考える

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1月26日(日)ANCHOR KOBE/アンカー神戸(中央区)において、「子育て中のおとなの、まち・ひととの関わりを考える」と題した講演会が開催され、オンラインでも同時配信された。(主催:神戸市外国語大学/後援:神戸市・神戸新聞社)
同大学が2017年から取り組んでいる「魅力発信事業」のひとつ。2022年度は「神戸発!場をつくる―Cultureの芽を育てるために―」をテーマに、昨年から4回にわたりさまざまな「場づくり」を実践中の人が講師を務めた。今回が最終回となる。
講師の佳山奈央さんは同大学の卒業生。リクルートを3年で退職し、2年前に神戸市役所近くに保育施設「おやこの世界をひろげるサードプレイスPORTO(ポルト)」を開設。佳山さんが意識しているのは、子どもと一緒に訪れた大人も心地よく過ごせる空間づくりと、子育て中にも世界が広げられること。保育施設でありながら半分は大人が過ごすスペースにし、設置している本棚にも大人のための書籍を半分置いている。保育士が常駐する室内の遊び場で子どもを遊ばせながら、リラックスして過ごすママの姿や、週末には子どもの様子を見つつパソコンを開くパパの姿も見られる。(パパの利用は4割を占める)そして「世界を広げる」をコンセプトに、子どもや親子向け、子どもを遊ばせながら大人が参加できるものから、地域交流の餅つき大会など、多数のイベントを開催している。

PORTOをオープンした背景には「子どもに一番身近な親が自分のことを後回しにせず、イキイキとした姿を見せることが、子どもにはプラスになるのでは」という思いがあった。幼少期の家庭での原体験と、大学在学中の予期せぬ妊娠と未婚での出産、復学して19歳からの子育て経験がもとになっていると話す。佳山さんは、年子の4人姉妹の長女。親が離婚し母親が働き始め「子どもたちのために」と自分を犠牲にする姿をみて「自分たちのせいで母は幸せになれないのか」と、釈然としない思いを抱いた。だから自分が産むと決めたからには「子どもがいるからやりたいことができなかった」とは絶対言わないと心に誓った。
PORTOでは週末の夜を中心に、子ども連れもそうでない人も関係なく、お酒を飲みながら大人同士がゆるく繋がれる場も提供している。「子育て中に地域と交流ができる場って、ありそうでなかなかないんです」と佳山さん。留学生たちと外国語での国際交流や、読んでいる本をゆるく紹介しあう「ブックナイト」など、子育て世代以外の参加も多い。卒業生の向井沙織さんは、「PORTOのアカウントをフォローしていたところ、同大学卒業生と知り来ました。原体験が原動力の強い想いで活動されているとわかり、お話を伺えて良かったです」と声を弾ませた。佳山さんは、「家庭環境や親の価値観が子どもの人生を決めるものではなくて、社会には多くの選択肢や大人がいることを子どもたちに感じてもらえる場所のひとつになればと思っています。そして多種多様な人や世代、地域がPORTOで交わって、子育て親子を中心にあらゆる人の可能性を広げるお手伝いができたらと場づくりをしているところです」と語った。
※PORTOへの問合せはQRから


左:石野遥香さん(外大4回生)「先輩の言葉で子育てに勇気を貰いました」右:向井さん

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