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トールペイント作家 山田まさみさん

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西区春日台在住の山田まさみさん(60)はトールペイントに魅せられて24年、ほぼ毎日絵筆を握ってきた。自宅ではトール&デコラティブペイント教室を主宰している。 西区春日台在住の山田まさみさん(60)はトールペイントに魅せられて24年、ほぼ毎日絵筆を握ってきた。自宅ではトール&デコラティブペイント教室を主宰している。

山田さんは宝塚市出身。結婚後、家族で住んでいた伊丹の社宅が阪神・淡路大震災で全壊し、翌年春日台へ引越してきた。当時、トールペイントが流行しており近所の同年代の子どもを持つ母親たちはこぞって習っていたほど。手芸店には関連の本や画材がたくさん並んでいた。高校時代は美術部に在籍し、絵を描くことが好きだった山田さんはブームが去り始めた1998年にトールペイントを始めた。

山田さんがまず取り組んだのは2色のアクリル絵の具を平筆の先端につけて描く「アメリカン・カントリーペインティング」。その頃はクマや ウサギなど可愛らしいデザインが多かったそうだが、山田さんが一番魅力を感じたのはストロークのバラ。子どもを寝かしつけた後、毎日夜の9時から深夜0時まで描き続けたものの、納得がいくバラに仕上がるまで3年かかったという。山田さんは「とにかく楽しくて夢中でした」と笑顔をみせる。

2002年、丸筆だけで重ねて描く「ピオニーペインティング」を習得しようと考案者の岩寺智恵さんに師事。2009年からは「オイルペインティング」を習得するため河崎香さんの教室にも、それぞれ10年通った。2011年には、関真澄さんから色彩学も学んだ。2014年には日本デコラティブペインティング協会(JDPA)の技術認定試験にパス、日本には10人しかいない「ゴールドローズアーティスト」になる。さらに2015年にはアメリカに100人だけという「SDPマスター・デコラティブ・アーティスト(MDA)」を取得。それを機に、図案も色もすべて自分でオリジナルのデザインを始め、自宅で教室を開くようになった。

2021年10月、山田さんの作品は高い完成度が認められ、ルーブル美術館に直結する地下サロンで開催されたアートフェア「サロン・アート・ショッピング・パリ」に4点出展された。山田さんは何が注目されるかわからなかったが「わかりやすく居心地のよい、気分のよくなる作品にしよう」と花の作品2点、サンタ、トルソーの作品1点ずつ計4点を出展。フランスではサンタとトルソーの作品が人気だったという。昨年11月には西明石ホテルキャッスルプラザ2階ギャラリーでアートフェア出展作品を含む油彩画25点を展示した個展を開催。

現在山田さんはJDPAの委員となり運営に携わっている。今年5月には、年に一度のJDPA大阪コンベンションが梅田スカイビル・ステラホールで開催され、300~500の作品が展示される予定。山田さんは技術認定の審査員を務め、さらに展示販売も行うため、作品作りや準備で大忙しの日々を送っていると話す。
「私はこの世界で50人にひとりの生き残り」と笑う山田さん。「トールペイントはさまざまな技法があり習得に時間はかかりますが、私自身もスキルアップしながら、たくさんの方に絵を描く楽しさを伝えていきたい」と目を輝かせた。

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