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介助犬と歩こう!(こうべ動物共生センター)

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11月21日(月)、こうべ動物共生センター(北区しあわせの村)で「介助犬と歩こう!」が開催された。

講師は特定非営利活動法人兵庫介助犬協会理事長の北澤光大さん。北澤さんはもともと獣医になりたかったが挫折。大学生の時にインターネットで介助犬ユーザー(使用者)のブログに書かれていた「できる限り介助犬の世話は自分で行い犬との信頼関係をしっかり築くと、犬もきちんと仕事をしてくれる」に、感銘を受けた。お互いを必要とするヒトと犬の関係性をもっと増やしたいと思ったことがきっかけで、この仕事をしているという。「介助犬の仕事ぶりを直接目にすることはなかなかないと思います。今日は実際に介助犬とのふれあいを通して介助犬について学んでいただけたらと思います」と話した。

まずは「身体障害者補助犬」のそれぞれの仕事について説明があった。「盲導犬」は目に障がいのある人、「介助犬」は手や足に障がいのある人、「聴導犬」は耳に障がいのある人の日常生活の手助けをする。
当日、広報犬として来てくれたのはゴールデンレトリバーのアリシア(4才・メス)。介助犬として育てられたが、適性が合わず現在は広報犬として活動している。北澤さんが、ユーザー役になりデモンストレーションを行なった。

介助犬の主な仕事は落とした物を拾うこと。たとえば、玄関の鍵を地面に落としてしまったとき、介助犬に「テイク」「ギブ」と指示すると、前歯で鍵をくわえて渡してくれる。手が不自由なユーザーは、薄くて小さいもの(小銭など)をつかみにくい。だが落としたことに介助犬が気づいたとしても、指示がなければ自分からは拾いに行かない。ハサミや薬など、犬が口にすると危険なものを避けるためである。冷蔵庫の中のジュースを取ることもできる。家具などの取っ手に紐をつけ「プル(引く)」という指示により、さらにさまざまな手伝いを行わせることができる。

介助犬の訓練は遊び(ボールを取ってくる、布の輪っかを引っ張る)の中から取り入れるので、仕事を遊びの延長として楽しんでできるようになるという。参加者の池田さんは(須磨区東落合)「しあわせの村の掲示板を見て参加しました。今の兵庫県には介助犬が2頭しかいないと聞いてびっくりしました」と話した。同センターのHPで知って参加した近藤さんは、伊織さん(5歳)瑠花ちゃん(2歳)沙咲ちゃん(0歳)と家族で参加。「訓練しても10頭中3頭くらいしか補助犬になれないと聞いて驚きました。去勢・避妊をしているのは、犬にとってかわいそうなことではなく、病気などを避けるためにも必要なことなんだと知り勉強になりました」と話した。

参加者から「補助犬に指示するとき、なぜ英語なの?」という質問があった。日本語だと「座れ」「座って」「座ってちょうだい」など、同じ言葉でも言い回しや方言などの違いがあるため、「シット(座れ)」「ステイ(そのまま)」「テイク(もってきて)」など、英語で訓練されている。
全国で希望者が1万5千人いるといわれている介助犬だが、現在約60頭しかいない。北澤さんは「障がいがある人と介助犬が活躍しやすい社会になるためには、みなさんに介助犬のことを広く知っていただき、正しく理解していただく必要があります。ぜひ介助犬と障がいがある人の暮らしについて関心を持ち続けていただけたらと思います」と話した。


北澤光大さん

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