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須磨区役所(須磨区大黒町) ひとりじゃないよ。他人に頼る重要性

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10月15日(土)須磨区役所(須磨区大黒町)で『ひとりじゃないよ。“他人に頼る重要性”』~長期的に摂食障害克服に取り組める環境を考える~が開かれ約60人が参加した。(主催/神戸市社会福祉協議会、たかとり障害者相談支援センター)
講師は元摂食障害当事者としてピアカウンセラーなどの活動をしている竹口和香さん。摂食障害とは、食事の量や食べ方など、食事に関連した行動の異常が続き、体重や体型のとらえ方などを中心に、心と体の両方に影響が及ぶ病気の総称で「拒食症」「過食 症」「過食性障害」などがある。竹口さんは「摂食障害は孤独の病、心の叫びです。専、門医も少なく、特効薬もない精神疾患の中で死亡率が最も高い病気です」と話す。
竹口さんは、高校2年生の時、学校でダイエットブームが起きたことがきっかけで、自身に食事制限と過活動を課すことになる。学校でのダイエットブームは、1カ月ほどで去っていたがやめずに続けた結果、体重は激減、体調にも異変が表れるようになった。それでもやめられなかった「拒食症」は1年続き、その後は「過食症」に移行して4、5年苦しむことになる。
そのきっかけは、アルバイト先の送別会だった。みんなと談笑しながらカロリーの低いサラダなどを食べていたが、ふと目に入った焼きそばを口に入れた途端「脳の中でパチンと弾けた感覚に襲われた」と話す。今まで食べたいと思わなかった唐揚げやスイーツなど高カロリーの物を欲して、次々に好きなだけ食べた。お腹が空いていなくても衝動的に「食べたい欲求」に支配されるようになり、「親にバレないように冷蔵庫の奥からあさって食べたりした」と言う。自責の念に駆られるも衝動を抑えることができない。そんな自分をなかったことにするかのように吐くことを覚えた。
受験勉強に集中していた期間、症状は影をひそめたが、大学に通うため上京し、慣れない環境での一人暮らしでストレスを貯め、再び過食症に支配された。大学2年生の時には授業に出席できなくなってしまう。それでも大学のカウンセリング室には通い、辛い気持ちや悩みを吐露していた。ある日のカウンセリングで「ヨガ」を勧められ体験教室に参加したことが転機になる。
ヨガの呼吸法には自律神経のバランスを整える効果があり、何よりレッスンの60分を自身と向き合うためだけに使えたことが心のケアになった。心身ともにすっきりしたその日は、過食嘔吐することなく一日を終え、喜びに包まれた。それからは「いいこと日記」をつけるようになり、小さな目標を達成していく自身を認めて褒めることで徐々に落ち着いた。また、自身の弱さを家族や友人に見せることができるようになり、「ありのままの自分の存在」を受け入れてもらえたことで「摂食障害は寛解しました」と話した。
摂食障害になる人は、真面目で完璧主義、ストレスの発散も苦手なので過剰にストレスを貯め込んでしまう。そこで、ストレスを適切に対処する能力「コーピングスキル(逃げる、相談する、他人に頼るなど)」をたくさん身に付けていくと良い。サポートする人は、本人と症状を分けて考えて受け止めてあげることが大切だと、「摂食障害理解と回復のために」(NHK厚生文化事業団)の動画を使って解説した。
参加した当事者家族の女性は「貴重な体験談が聴けて良かったです。悩んでいる潜在者は多いと思うので、このような機会を増やしていただきたいです」と話した。

※コーピング…語源は「問題
に対応する、切り抜ける」
という意味の「cope」と いう英単語で英語表記は「
coping」。
※寛解…症状が落ち着いて安
定した状態。

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