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須磨区

絵本ワールドinひょうご202

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10月8日(土)、大本山須磨寺(須磨区須磨寺町)の青葉殿講堂で「絵本ワールドinひょうご2022」が開催された。絵本作家のサイン会や原画展、ワークショップなど盛りだくさんのイベントに子ども連れなど多くの絵本ファンが集まった。同時開催として「えほん寺ピー いのちのまつり2」も行われた。

「絵本ワールドinひょうご2022」は兵庫県下の約140書店からなる兵庫県書店商業組合が主催する子どもの本のお祭り。子どもたちが本に親しむ機会になればと2000年の「子ども読書年」に岡山・静岡・福岡・札幌・大阪・石川の6地域で始まって以来、各地で行われている。新型コロナウイルス感染のため、3年ぶりの開催となった。

会場には幅広い年齢を対象とした約600冊の絵本が並び、興味のある絵本を手に取って確かめたり、購入したり出来た。一つ目小僧やろくろ首の子どもたちが森で肝試し大会をする「おばけのきもだめし」などで知られる山本孝さん、読めば大人も山に繰り出したくなると評判の「キャンプ!キャンプ!キャンプ!」の青山友美さん、自らのウエディングストーリーを絵本にした「さすらいのルーロット」のかなざわまゆこさんら、3人のサイン会には多くのファンが列をなしていた。
山本孝さん、かなざわまゆこさんの原画の展示もあった。おしりたんていの着ぐるみや、長さ150㎝、高さ130㎝のぞうのエルマーも登場し、参加者たちは記念写真を撮っていた。児童書出版社による絵本カバーを使ったエコバッグや、缶バッチのワークショップ、紙芝居や読み聞かせもあり、会場は賑わいをみせていた。垂水商店街の流泉書房によく出かけるという家族5人で来場した松本麻美子さん(垂水区瑞ケ丘)は「絵本は欲しいときに欲しい分量だけ私の心を癒し、元気にしてくれる。絵本はやさしい」と笑顔をみせた。絵本が大好きという長男の尚さん(小2)はお気に入りの絵本を購入できて満足顔だった。

午前中には同時開催の「えほん寺ピー いのちのまつり2」(主催/絵本テラピーいのちのまつり神戸実行委員会)が行われた。「えほん寺ピー」は絵本セラピスト協会代表の岡田達信さんがコロナを機に絵本の読み聞かせを通して、今よりやさしく平和な世界を後の世代につなぐことを目的に宗派を超えて全国のお寺で開催している。

第1部では岡田さんによるシニアまで楽しめる「へんしんマラソン(あきやまただし著)」の読み聞かせやお話があった。
第2部は須磨寺副住職の小池陽人さんより「待つこと・許すこと」や「何もない人の豊かさ」などの法話があった。その後、岡田さんは「新・絵本はこころの処方箋」の著者であり、小池さんは「しんどいこころの処方箋」の著者であることから「心の処方箋」と題した対談が行われた。小池さんは「絵本は生きるスピードをゆっくりと、視点を短期スパンから長期スパンに変えてくれる」と話す。「我々はスマホなど情報化社会の中で、答えが簡単に見つかることから自分で考える隙間を失っている。余白を失ってしまった我々は答えのない絵本やファンタジーにふれることで、自分で創造し、考えることが可能になるのでは」と思いを語った。
えほん寺ピー主催の林美智世さんは「絵本は正解も間違いもない世界で、仏教もまた答えのない世界。生活の中に絵本や仏教がある人はおだやかで、こんな方々が増えれば世の中が安心。自分の命がなくなった後の社会が、もっと生きやすい社会になるための小さな種まきになれば」と話した。

 

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